インドの最新業界ニュース、2500社のインド企業情報を提供するポータルサイト

Make in India:自動車&自動車部品産業

コラム「Make in India(メイク・イン・インディア)」vol.3

 Make in India:自動車&自動車部品産業
 株式会社チェンジ プリンシパル・コンサルタント
 Saurabh Srivastava 
 2015年6月11日   

   

 

make in india

 前回までのコラムでは、Make in Indiaの概要について触れてきた。今回からは産業分野別の投資機会や魅力について述べていく。まずは、現在インドで最も勢いのある産業のひとつである自動車および自動車部品産業について見ていきたい。 

 

自動車産業

自動車産業の概要

 インドは世界でもトップを争う自動車生産国の一つであり、2014年度の年間生産台数は2,336万台を突破した。自動車産業はインドのGDPの7%を占めており、直接及び間接雇用を合わせると、国内で約1,900万人もの雇用を創出している。インドの自動車産業は2016年までに世界で第三位の規模となり、世界の自動車市場の5%以上を占めると推定されている。

 インドの自動車産業の内訳を見てみると、二輪車が最大シェア(約81%)を占めている。これは中間層や若年人口の増加、またこれらの層における可処分所得の増加や、企業各社による農村部への市場拡大等の要因によるものである。また、二輪車の生産においてインドは世界第2位である。ちなみに、オートバイ(motorcycle)生産では世界第1位、商用乗用車(commercial vehicle)生産では世界第5位である。

image 1 
インド自動車産業のセグメント別シェア
(出所:インド自動車工業会)

 image 2
(出所:インド自動車工業会)

 

 インドは自動車の輸出大国でもあり、輸出量は今後も継続的に成長すると予測されている。セグメント別の輸出台数は2015年度に二輪車が240万台、乗用車が60万台を記録し、2010年度時点と比較すると二輪車は約2倍、乗用車は約40%の増加となった。

 印ビジネス・スタンダード紙が発表した2014-2015年の乗用車を販売する自動車メーカー各社のマーケットシェアを見てみると、マルチ・スズキがトップで48%(117万台)、続いてヒュンダイが17.2%(42万台)、マヒンドラ・マヒンドラが8.6%(21万台)、ホンダが7.8%(19万台)、トヨタが5.8%(14万台)、タタ・モーターズが5.5%(13万台)と続いている。

 二輪車のマーケットシェア(2014-2015期4月から8月)は、ヒーロー・モトコープが41.4%、続いてホンダが25.6%、バジャジ・オートが16.6%、TVSが12.9%となっている。

 

産業政策

 インド政府は自動車産業への外国投資を促進させるために、100%のFDIを自動承認ルートで認めており、製造や輸入に関してはライセンスや認可を免除している。2014年2月には、”Make in India”政策のもとに優遇措置が適用され、小型車やスクーター、オートバイや商用車に対する物品税は従来の12%から8%に引き下げられた。トラクター分野においては、製造業者の一つあるいは複数の工場から同企業の工場に送られる場合、トラクターの部品にかかる物品税が免除されている。

 また、インド政府が2006年に発表した自動車ミッションプラン2006-2016(Automotive Mission Plan 2006-2016)では、インドを世界の自動車および自動車部品の生産・開発拠点として確立させることが掲げられている。この計画では、2016年までに自動車の生産額をGDPの10%にあたる1,450億ドルに拡大させ、2,500万人の新規雇用を創出させることを目標としている。また、これらの目標を達成するために、インド政府は中小企業向けの先進技術に関するファンドも設立した。

 また、インド政府は2014年度国家予算において農家に対し85万ルピーの補助金を提供すると発表しており、同制度はトラクターやエントリーレベルの二輪車等の需要増加を促進させることが期待されている。また、インド政府は国家電気自動車計画 2020(National Electric Mobility Mission 2020)のもと、信頼性が高く低価格であり、かつエネルギー効率の良い電気自動車の普及に向けた取り組み(Scheme for faster Adoption and Manufacturing of Electric and Hybrid Vehicles in India)を計画している。

 

自動車産業における動向

インドの自動車産業市場では、近年数多くの自動車メーカーが大規模な投資を行っている。

  • インドの自動車産業に対する外国直接投資(FDI)は2014年度で25億ドル(約3,000億円)に到達し、2013年度の15億ドル(約1,800億円)から70%増の成長となった。

  • スズキ自動車の生産子会社スズキ・モーター・グジャラート社(SMG)は、グジャラート州に約600億円を投資し、年間25万台の生産能力を持つ新工場を立ち上げることを発表している。

  • 米国の自動車大手フォード・モーターは近年グジャラート州におけるSanand工場の建設に10億ドルの投資を行った。さらに、チェンナイのR&Dセンターに400億~500億ルピー(約760億~950億円)の追加投資を行う計画も発表している。

  • モディ首相による訪韓後、ヒュンダイのChairman、Chung Mong-koo氏は、インドに第3拠点目となる自動車工場の設立を検討していると発表した。

  • ドイツBMWのインド法人は、インド国内の自動車部品メーカー7社から部品を調達すると発表した。

  • ホンダのインドにおける二輪車生産・販売現地法人であるホンダ・モーターサイクル&スクーター・インディア(HMSI)はインド南部カルナータカ州の第三工場の既存敷地内に約58億5,000万ルピー(約111億1,500万円)を投資し、1ライン増設することにより、現在の年間生産能力180万台から240万台に引き上げることを発表した。また、150億ルピー(約285億円)を投じて西部グジャラート州に年産120万台の第4工場を建設する予定である。

  • インドの二輪車大手のヒーロー・モトコープはインドやコロンビア、バングラディシュにおける計5拠点の製造工場に500億ルピー(約950億円)を投資し、2020年までに年間生産能力を1,200万台へ拡大させる計画である。

 

自動車部品産業

自動車部品産業の概要

 自動車産業の著しい需要拡大や景気の改善、金融業界における資金流動性の回復や政府による融資制度の導入等により、インドの自動車部品産業はここ1年半の期間で健全な成長を遂げた。

 インドの自動車部品産業は、組織化(organized)及び非組織化(unorganized)部門に分類されている。組織化部門では、OEM製造業者に対して高付加価値の精密機器が供給されており、その一方で非組織化部門ではアフターマーケット分野に対し低付加価値の製品が供給されている。

 同産業では、エンジン部品が全体の31%を占めており、それに次ぎ、トランスミッションやステアリング製品が19%を占めている。二輪車製造が主な供給市場となっており、輸出は15%を占めている。

image 3
インド自動車部品産業の製品タイプ別生産量
(出所:インド自動車部品工業会)

image 4
インド自動車部品産業の輸出額(単位:十億ドル)
(出所:インド自動車部品工業会)

 

 インド自動車部品工業会(ACMA)の情報によると、インドの自動車部品産業は2016年度に660億ドル(約7.9兆円)に到達し、2021年度までには1,150億ドル(約13.8兆円)に拡大すると推定されている。輸出も同水準の成長を遂げ、2016年度には120億ドル(約1.4兆円)、2021年度までには300億ドル(約3.6兆円)に到達する見通しだ。

 

産業政策

  • インド政府は、自動車部品産業の成長を促進させることを目的に、自動車産業育成計画(AMP: Automotive Mission Plan)という政策を打ち出している。同政策により小型自動車や多目的車(MUVs: Multi-Utility Vehicles)、二輪車、三輪車や自動車部品の輸出が拡大し、国内のGDPに占める自動車部品産業の割合は2006年から2016年の間で2倍に増加する見込みである。また、売上総額は1,450億ドル(約17.4兆円)規模に達すると予測されている。

  • 現在、自動車部品産業では100%のFDIが自動承認ルートで許可されており、この規制緩和も外国企業からの投資を促進させる要因となっている。

  • インド政府は自動車部品産業の近代化を推進するために2億ドル(約240億円)の基金を設置し、貸付利子補給金と新規の工場・機械への投資のための補助金を提供している。

  • インド政府は国家電気自動車計画2020(NMEM:National Mission for Electric Mobility 2020)を立ち上げ、電気自動車(ハイブリッド自動車含む)の普及や製造の推進に取り組んでいる。インドでは、都市部の短距離通勤(片道平均 50-100キロ)に適し、夏季やモンスーンの時期にも利用できるよう頑丈に設計された低価格の電気自動車の需要が急拡大すると予想されており、電気自動車の販売台数は2020年に600~700万台に到達すると予測されている。

  • さらに、関税免除補充証明書(DFRC: Duty Free Replishment Certificate)の制度では、自動車部品の中間業者に対して輸出における優遇措置が設けられている。

自動車部品産業における動向

  • 日立オートモティブシステムズは、約50億円を投資し、インド南部チェンナイで自動車用エンジン部品の新工場を設立すると発表した。2015年10月より吸排気制御のバルブタイミングコントロールや点火コイルを生産する。

  • 日産系列の自動車部品メーカーであるカルソニックカンセイは、カーエアコン用コンプレッサーを生産する新工場を、インドで51%出資するカルソニックカンセイ・マザーソン・オートプロダクツのバワル工場(ハリヤナ州)内に設置し、量産出荷を開始した。

  • タイヤメーカーMRF Ltdは、拡大計画の一環としてタミル・ナドゥ州の工場2拠点に7億1,116万ドル(約853.4億円)を投じると発表している。

  • インドの自動車部品大手のUno Mindaは、日本のアロイホイールメーカーKosei Aluminum Co. Ltd.とインドでアロイホイールの製造・販売を展開するための合弁会社を設立した(Uno Mindaが株式70%、Kosei Aluminumが株式30%を保有)。同合弁設立には、合計3,161万ドル(約37.9億円)の投資が行われた。

  • 日本の自動車部品メーカーFCC社は、インドにおける事業パートナーRico Auto Industries社との50:50の合弁会社を解消し、Rico Auto Industries社が保有するFCC Rico社の株式50%を49.5億ルピー(約94.1億円)で取得すると発表した。 

———————————————————————————————————————————-
コラム記事に関するご意見・ご感想はこちらからお問い合わせください(メーラーが起動します)

 

バックナンバー

 

>>インドビジネスコラム一覧へ

 

著者プロフィール

Saurabh

 

Saurabh Srivastava
株式会社チェンジ  
プリンシパル・コンサルタント

 

これまで数多くの民間企業や国際機関に対し、新興国市場における事業戦略の策定やマーケット主導型の製品開発を支援。3年前から東京に在住し、日本企業がインドやその他各国で事業展開する際の戦略策定支援や現地調査の設計・実施などの幅広いサポートを行っている。

 

一覧に戻る