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【製造業】インドの電化製品・家電業界、輸入品への依存が課題

インドの家電製造協会(CEAMA: Consumer Electronics and and Appliances Manufacturers’ Association)によると、5,000億ルピー規模を超える国内の電化製品・家電市場は約30~40%が海外からの輸入品で形成されている。同協会の事務総長は、「特にASEANの自由貿易協定、逆効果の税制度や不十分な政府の政策などの要因により、国内では電化製品の輸入品が急増している。」と述べる。

特にエアコン製品については国内で販売されている製品の約65%が輸入されており、エアコン部品のコンプレッサー(圧縮機)や室内用スプリット型エアコンは国内で製造されていないとのことだ。唯一、インドで圧縮機の製造拠点を構えているのはLG社のみである。
Whirlpool India社のSenior Vice-President、Shantanu Das Gupta氏は下記のように述べる。「インドでは圧縮機が製造されていないため、海外から輸入しなければならない。インド市場は圧縮機の製造拠点を設置するためのボリュームにまだ達していない。」同氏によると、同社のエアコン製品の原材料費の内、圧縮機は約4分の1を占めているとのことだ。

テレビ製品に関してはLEDや液晶ディスプレイのモデルが市場の半分以上を占めているが、ディスプレイ部品の4分の1は輸入品である。Sony社は以前からインドでディスプレイ部品の製造工場の設立を検討していたが、現在はマレーシアとの自由貿易協定によりわずか3%の関税で輸入することが可能となっている。同社の日比賢一郎社長は、「インドで(ディスプレイ部品を)製造することは現実的ではない。」と述べる。

インドで薄型テレビの最終組立作業を行う製造業者もいるが、特に輸入品しか手に入らないディスプレイ部品が高コストであるため、国内での付加価値は30%に過ぎない。Panasonic India社のS Manish Sharma社長は、「当社のLEDパネル製品の約95%はインドで組立作業が行われているが、関連部品が国内で製造されていないため約85~90%を輸入している。」と述べる。

あるテレビ製造会社の専務によると、ディスプレイパネルの製造工場を建設するためには約10億ドルの投資が必要となるそうだ。インドの市場はまだ十分な規模に達していないため、製造工場の設立は合理的ではないと同氏は指摘する。

インドの部品製造産業が未発達である原因の一つは、市場規模が小さいことが挙げられる。例えば、2013年の電子レンジの販売台数は130万台であり、総売上高は100億ルピーである。さらに、国内で電子レンジを保有している家庭は全世帯の23%に過ぎない。

また、製造産業の発展に対し、これまでインド政府が積極的な政策を打ち出していないことも原因だと見られる。国内の電子レンジメーカー数社は最近インド政府に対し、主要部品に対する輸入関税の引き下げを求める抗議を行ったが、政府からの対応は止まっている状態であるそうだ。さらに、インドの商工省は中国との自由貿易協定を強化させており、この動きは中国からの低価格の輸入品の流入をさらに促進させることが予想される。

このような政府の無関心な姿勢は、特に家電業界にとって深刻な課題となっている。現在1,000億ルピー規模と推定される同業界では、大手メーカー向けの製造を行う小規模な製造業者により支配されており、それらの製造業者が扱う約30~40%の関連部品が関税を回避した闇市場から調達されているそうだ。インド政府はこの闇市場の拡大に歯止めをかけることができていないことが現状であり、国内の小規模な家電製造業者や部品産業全体に悪影響を及ぼしている。

インドは電化製品や家電メーカーにとって非常に潜在的な市場であり、Sony社にとって既に世界4位の売上規模となっている。しかし一方でその市場成長の裏には輸入品への依存という深刻な課題も存在していることが明らかである。

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