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【小売】IIM-Aの論文、キラナショップとネット販売の融合によりインドで新たな小売業態を提案

歯止めの見通しがない不動産価格の上昇は、インドの大型小売チェーンにとって店舗拡大を抑制させる重要な課題となっている。このような風潮のなか、インド経営大学院アメーダバード校(IIM-A)が発表した研究論文では、オンライン販売とキラナショップ(パパママストアとも呼ばれる小規模店舗)を組み合わせた新たな販売戦略が提案されている。このモデルは”Brick and Click”と呼ばれ、ネット販売と実店舗の融合により小売業界において新たな革新を起こす可能性があると述べられた。

IIM-Aが発表した研究論文”Online Retailing Paired with Kirana – A Formidable Combination for emerging Markets”は、同大学院のPiyush Sinha教授、Srikant Gokhale教授、及びSaurabh Rawal教授によって執筆された。

この研究では、インド国内で小規模小売店舗を展開する事業者に対して、オンラインと実店舗の融合を推奨する理由を4つ提示している。1つ目としては、国内においてインターネットの技術が急速に浸透していること。2つ目は、消費者の嗜好が発展していること。3つ目は、小売業者やブランドによるメディア媒体への適応力が向上していること。そして最後に、不動産価格が上昇していることが挙げられる。

また、論文では今後小売業界が直面すると予測される課題が述べられている。例としては、物件の価格高騰や店舗運営のための適切な場所の不足、光熱費などを含む間接運営費の負担、盗難などのトラブル、人材不足など、数多くが存在する。一方で、オンライン販売であれば、スマートフォンからでもアクセス可能である上、消費者は次店舗で買い物する時間や燃料費を節約できる。店舗側としても、店舗増設に必要な高額な投資が不要となる。

キラナショップのような町の小規模な小売店舗がオンライン販売と連携する新たな小売業態は、都市部だけではなく、農村部ではより著しいスピードで拡大していくと予想される。これまで多くの大手小売チェーンは、非常に広大な農村部地域での事業拡大に苦労してきた。しかし携帯電話が急速に普及するなか、農村部の消費者にとっての購入先のオプションは、オンライン上か近くの小規模小売店かの究極な2択が主流になる時代が近々来る可能性があると論文は予測する。インドや中国のような多様な人口を抱える広大な国では、このようなインターネットと実店舗の両社を取り入れた”オムニチャネル”が成功するとのことだ。

また、マッキンゼーのレポートによると、インドにおけるインターネット利用者数は3億7,000万人まで増加しており、2015年までに全ての先進国の利用者数を超えると推定される。利用者の中でもネット上で買い物をすることに対し未だ抵抗を感じる人は多いが、インドのEC事業者各社はこの課題を十分に認識し、典型的なインド人消費者のニーズに合ったビジネスモデルの構築に励んでいる。例えば、ネットショッピングを促進させる施策として、インドでは大幅な割引セールやお得なキャンペーンは有効だと考えられている。

また、小売事業者がオンライン販売に参入する重要な要因の一つとして、不動産価格の高騰が挙げられている。同IIM-Aの論文によると、売上に対する店舗賃料費は先進国で約3~4%程度であることが一般的だが、インドの小売業においては10%以上に上ることもある。

2012年には、実店舗における小売業の売上は総計約20兆ルピーであり、実店舗以外の小売業の売上は約1,750億ルピーであった。2007年時点の売上規模と比較した場合、実店舗型の小売業は74%、そして実店舗以外の小売業は223%の成長率で拡大している。インドには現在1,400万店以上の実店舗型の小売店が存在し、そのうち1,200万店舗がキラナショップと呼ばれる小規模な食料品・雑貨店である。

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