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インドと言えばコーヒーですね

コラム「違いは前向きに考えてみる」vol.3

 インドと言えばコーヒーですね
 Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役
 佐々木克仁
 2015年6月16日   

 

「いやいや、紅茶でしょ、チャイでしょ」と思った皆さん、突っ込みありがとうございます。
確かにインドは紅茶の生産量が堂々の世界1位で、消費量も屈指の紅茶王国です。昔、イギリスの植民地だったインドではイギリス向けに大量の紅茶が栽培され、有名な産地となりそれが今も続いています。

でも、実はコーヒーもすごいのです。
インドはコーヒー生産量世界6位(シェア4%)で、2014年度は前年比13%増の約34.5万トンと予測されるほど。アラビカ種の次に生産量が多いロブスタ種だけで見れば、ベトナム、ブラジル、インドネシアに次ぐ世界4位(シェア5%)なのです。そして、コーヒー輸出量も世界4位(シェア11%)です。生産量は6位なのに輸出が4位と言うことは、国内消費が少なく、輸出向けの生産が多いのが、インドのコーヒー業界の特徴です。

しかし、最近はこの傾向が変わってきています。
インド国内の消費は、以前はコーヒーの栽培ができる南部で大半が愛飲されていましたが、カフェのチェーン展開が進み、デリーなど北部の都市でもコーヒーは身近なものになりました。インドで一番大きいカフェチェーンはCafe Coffee Day(カフェ・コーヒーデイ、略称:CCDシーシーディ)で、2015年6月10日現在、インド全土で1,530店舗を持っています。

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 CCD本社があるインド南部バンガロールは市内に190店舗もある

 

そして、2012年に1号店をオープンし急激に店舗数を増やしているのが、タタ・スターバックス(略称:スタバ)。日本でもご存じの米スターバックスと印タタ・グループの合弁会社です。

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スタバのコーヒーを体験する弊社のメンバー

 

実はスタバは10年以上も前からタタと提携し、インドからコーヒー豆を輸入しています。日本でも昨年、オンラインショップ限定で「インディアエステーツブレンド」という豆が発売されていました。インドからの豆の輸入に対して、今度はアメリカからカフェサービスの輸出ですね。こういう互いの強みを出し合う提携はワクワクします。

それ以外にもイタリア系やイギリス系、オーストラリア系などたくさんのカフェチェーン店がインドに展開しており、カフェ戦国時代になっているのが現在のインドです。

さてさて、インドのコーヒーに関して数字を見ていきましたが、数字以外の部分も見ていきましょう。

年々物価が上昇し価格は少しずつ改定されていますが、コーヒーの値段はだいたいスタバがCCDの二倍ぐらいです。高級ショッピングモールや高級マーケットを中心に展開するスタバに対し、CCDは街中にも多くあるため、客層はスタバが富裕層で、CCDは中間層と都心部の若者というイメージです。

このまま順調に棲み分けがされるようにも見えますが、CCDは通常店舗よりも高い価格・品質設定した高級志向のショップの展開も進めており、スタバやその他外資系のカフェと正面からぶつかり合っています。ちなみにCCDがスタバ進出前に始めたのが、Cafe Moments Cardと呼ばれるチャージ型プリペイドカードです。このCCDのCafe Moments Cardは、一度のチャージ金額が大きいと付与されるボーナスのレートも増える仕組みになっています(最大10%)。このシステムにより、更に価格差を広げ、顧客の囲い込みを行っています。

前述のような感じでカフェの広がりとともに、都市部を中心にコーヒーを飲むインド人が増えてきていますが、私たち日本人とは感覚が違う部分もあります。

例えば、”ブラックコーヒー”です。
打ち合わせなどで企業を訪問すると、インドではまず水を1杯いただけます。そして、お茶くみ係から「Tea or Coffee?」と聞かれます。日系企業を訪問すると、”ブラックコーヒー”はちゃんと通じますが、インドの現地企業の場合、「ブラック?」と分からない人がいたり、見た目はブラックなのですが、砂糖がたっぷりの甘いコーヒーが出てきたりします。私は甘党なので、ミルクも砂糖も入っていてOKですが、ブラックコーヒーが良い人はなんと言えば良いのでしょうか?

「Coffee without milk and sugar.」とか言うと、チャイ風コーヒーが出てくる可能性がありますのでご注意を。お茶くみ係は学校を出ていない貧しい少年がやっていることが多いため、英語をうまく理解できません。そこで、「without」が「with」に聞こえてしまうことがあるのです。私はシンプルに「No milk no sugar coffee, please.」と言って間違えられたことがないので、こちらを常用しています。ちなみに料理を辛くして欲しくない時は「No」よりも、「”Zero” chili and “Zero” spicy」と”Zero”を強調すると”控えめ”にしてくれます (笑)。

さて、インドの大衆カフェやファーストフード店などでよく見かけるのが、複数人でやってきて、一人だけ注文して全員で席を使うことです。まあ、日本もフードコートなどで、例えばお婆さんが孫にアイスクリームを買って、一緒に席に座り孫だけ食べているような感じでしょうか。ただ、インドの場合はドリンク1杯やフライドポテト(インドではフレンチフライ)ひとつで長時間団体が居座ることもあります。

私なりに考えたのですが、広い視野で見るとカフェの快適さを体験してもらい、将来就職して給料をもらうようになったら、カフェにお金を落としていって欲しいという宣伝の一環、狭い視野で見るとカフェのスタッフは購入する客が増えるほど仕事が増えるからこちらのほうが楽という可能性もあります。

最後にコーヒーからだいぶ離れますが、インドのカフェは日本に比べてBGMの音量が大きいです(もちろん静かなところもあります)。
以前、インドの銀座ことConnaught Place(コンノートプレース)のCCDで打ち合わせをした時にBGMが大きすぎて会話がうまくできないため、店員に頼んで音量を下げてもらいましたが、しばらくするとまた音量が大きくなるということを繰り返しました。

何が起きているのかというと、私が「音量を下げろ」というのに対して、「音量を上げろ」という他の客がいて、店員はそのどちらかに言われたら、その通りに交互に対応している状況です。

私が何度目かの「音量を下げろ」と言おうとした時に奥の席のインド人の若者達が、「自分たちはBGMのお金も払っているんだ。音楽を聴かせろ」と言ってきました。私にはよく分からず、一緒に居たインド人に話を聞くと、「コーヒーを作るだけならもっと安いお金で済みます。だからカフェで支払うお金は座席の利用料やエアコンの電気代、更にはテレビやBGMなど映像や音楽の視聴料も含まれていると彼らは考えているのです。」と説明してくれました。

私は納得し、そのカフェを出て、値段は高いですがBGMが静かな別のカフェで打ち合わせの続きをしました。

インドでのカフェの楽しみ方は人それぞれだなぁと思った出来事でした。

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著者プロフィール

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佐々木克仁(ささきかつひと)
Xroad Solutions Private Limited
Managing Director(代表取締役)

 

 

Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役。インド駐在時代に人材事業、インド企業在籍中に教育事業に携わり、2012年5月にインドで会社を設立。インドの首都デリーで日本人の特に個人向けのサービスを提供している。ドライバー付きの運転手が一般的なインドでも自身で車を運転して移動するなど、日本視点だけでなく、インド視点からも出来事を分析し、より深い日印の相互理解を目指している。2014年10月より日本在住。

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ブログ:http://ch.nicovideo.jp/sasaki

 

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