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【食品】インド大手小売企業と農家との新たな関係 (1/3)

従来、インド農業におけるサプライチェーンは、仲介業者が農家から農作物を購入し、マンディと呼ばれる農産物販売センターに卸売を行い、加工業者がマンディにおいて農産物を購入する仕組みだ。

アンドラ・プラデーシュ州Chittoor県Venkatagiri Kota村の野菜のマンディでは、昼間には数十人の仲介人が居合わせている。農家は買い付けする業者を待つ中で、運が良ければ納得のいく価格で販売できるが、多くの場合は業者が提示した価格で提供することになる。全ての野菜が値を付けられるわけではない。

農業を営むS. Rajendran氏は、小売チェーンHeritage Foods社と提携した。同社は農家の農産物のうち75%を買い取る。両者の関係は “Relationship farming”と呼ばれる関係だが“契約農業(contract farming)”と比べて厳密な定義ではない。この買取システムでは、農家は農作物に対して高い価格で販売できないデメリットがあるものの、確実に取引量が発生し、かつ支払処理が迅速であること、また生産地で取引されるため配送の手間が不要であることが魅力だ。

Heritage Foods社やReliance Retail社、Mother Dairy社等の大手小売チェーンでは、農家と直接調達できる拠点を設立しており、インドに進出する外資系食品企業も農家にコンタクトしている。

 

飲料大手PepsiCo India社はブランド“Frito-Lay”を生産するため、契約農家からジャガイモを調達している。同社が契約している農家は約24,000人であり、西ベンガル州、パンジャブ州、グジャラート州、ウッタル・プラデーシュ州、マハラシュトラ州、カルナタカ州、ビハール州ら9つ州にまたがる。同社が調達する総量のほぼ半数が契約農家からの調達によるものだ。また地域別で見ると、仕入総量(2012年24万トン)の4分の1を西ベンガル州から調達している。

西ベンガル州Hooghlyの農村Abhirampurでジャガイモを営むとある農家では、抱える農地の4分の1以上をPepsiCo India社向けに生産している。市場動向に捉われずジャガイモの販売価格はすでに同社間と設定されている。

過去3年間のジャガイモ生産量と価格が非常に不安定なため、いつ訪れるかわからない好機を待つよりも、安定した収入を得るために契約栽培を行う農家が増えるだろう。例えば2012年は、ジャガイモ“Jyoti”の価格は、生産量の落ち込みにより100kg当たり900~1,000ルピーであったが、同社と提携した契約農家は、輸送・仕分け・積込などの支払い後の収入は100kg当たり580~600ルピー(1kg当たり6ルピー)だ。だが収穫率は様々な不確定要因によって毎年異なる中で同社との取引は一定の確実な収入を得ることが出来ることがメリットだ。

 

このような大手小売業の直接調達により、農家の収入が8%上昇し、消費者の支払いは6%減少し、輸送の無駄が7%低減したと、インド対外貿易研究所のSunitha Raju氏は指摘している。

小売業の海外直接投資(FDI)で重要なポイントは、インドでは、インフラ環境の未整備により農作物が収穫されても毎年約5,000億ルピーの損失を被っていた。これが小売業の海外直接投資が推進されることで、サプライチェーンが強化され、果物・野菜の輸送における損失を低減できるようになることが期待されている。

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