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【食品】インド大手小売企業と農家との新たな関係 (3/3)

インド大手小売企業と農家との連携において、企業を通じて品種改良された種や生産方法・技術も提供されている。

Heritage Foods社はKuppam地域の農家から15トンの野菜を購入している。それらの野菜は倉庫で保管・分類・包装され、チェンナイやバンガロールに配送される。その施設では、一部貸出も行っている巨大な冷蔵貯蔵庫や、熟成を早めるエチレンのシャワー設備を搭載した果物熟成室も備えている。
従来までKuppam地域ではトマトやジャガイモ、豆類、キャベツを生産していたが、現在はヘチマや烏瓜、大根、玉ねぎ、スイートコーン、ピーマン、葉菜類など30種類の野菜を生産している。
現在ではHeritage Foods社だけでなく、FieldFresh Foods社(Bharti Enterprises 社とDel Monte Pacific社の合弁会社)もKuppam地域の農家からスイートコーンや豆類、唐辛子等を調達しており、同社の施設で分類された後、イギリスTesco社に輸出されている。

また農家向けに研修プログラムを展開している企業もある。
飲料大手Coca-Cola社ではJain Irrigation Systems社と提携し、アンドラ・プラデーシュ州Chittoor地区のマンゴー農家のために、超高密度栽培技術(ultra high density plantation techniques)の研修プログラムを展開している。投資額は約1.1億ルピーであり、パイロット農場100拠点、農家5万人を対象として研修し収穫の倍増を計画している。

同社のフルーツ飲料 “Maaza”は、インドで150億ルピー売り上げる国内最大級のブランドであり、同地区で栽培されたトタプリマンゴーとアルフォンソマンゴーをブレンドして作られている。同地区のマンゴーの年間供給量50,000トンの60%以上は、Jain Irrigation Systems社の加工工場で処理される。

 

現時点では農家に対する企業による人材育成や投資は十分ではないものの、徐々に進められてはいるようだ。
Metro Cash & Carry India社はアンドラ・プラデーシュ州農家や配送業者とのより深い連携を構築するために、サプライチェーン整備杜と同州Vijayawadaの人材教育に6億ルピーを投資したという。またWalmart社では今後数年間で農家35,000人との提携を計画しているとのことだ。Heritage Foods社は、Kuppam地域に他社もレンタル利用できるような冷蔵貯蔵庫の整備に3.5億ルピーを投資している。

 

農家と小売企業との新たな連携について良い面がある一方で、「純粋に喜ぶべきではない」と指摘する声もある。
米国ノースウェスタン大学客員教授であり小売業界に詳しいShekar Swamy氏は「農家が良い価格を確保する最良の方法は、農家が最終消費者市場にアクセスする際に、いくつもの小売業者によってアクセスが遮断されない構造を持つことだ」と指摘している。併せて、消費者が良い価格を確保するためには、消費者が日用品を購入できる店舗の選択肢が多いことも必要だと指摘している。

農家と小売企業双方に利益があるように見える契約農場の仕組みについては、西洋など既に導入されている国々において農業コミュニティ全体が好調であるかどうかを確認することが必要だと同氏はコメントしている。
例えば、イギリスの食品小売業界では、4つのスーパーマーケットチェーンが食品小売の売上の3分の2以上を占めており、アメリカでは上位5社のチェーンが売上の60%以上を占めている等、買い手である小売企業が販売価格を決定する力を持ち、売り手である農家を含むサプライヤーを押さえ込む結果となっている。

また、インド小売分野の専門家であるV. Rajesh氏は、インド農業を取り巻く最大の問題は、農家と消費者との間に適切なつながりが欠如している点だと指摘している。

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