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【食品】インド冷菓製品がシェア拡大 乳製品大手Amul社はアイスクリーム苦戦

今夏、FMチャンネルは、主に植物油から作られた冷菓よりも、「本物の」ミルクアイスクリームの魅力を強調した広告で溢れている。

インド乳製品大手Amul社にとって、同社が得意とするミルク由来のアイスクリームを冷菓製品の猛攻から守るような広告施策を展開するのは、同社が17年前にアイスクリーム事業に参入して以来、初めてのことだ。これには訳がある。インドのアイスクリームと冷菓を合わせた150億ルピーの市場の内、50%近くを冷菓が占めてきているからだ。実際に、Amul社とHUL社は同カテゴリーにて論争しており、ASCI(インド広告基準審議会)がHUL社に対して“アイスクリーム”ではなく“冷菓”と表示するように求めたことに対してAmulは不満に覚えている。

市場シェアを見てみても、冷菓製品はAmul社やMother Dairy社などのミルク由来のアイスクリームメーカーに厳しい戦いを強いている。調査会社Euromonitor International社によると、Amulブランドを所有するGCMMF社(Gujarat Co-operative Milk Marketing Federation)の2012年度市場シェアはアイスクリームの売上高で31%である一方、シェアを向上させたKwality Walls社は20%を占めている

 

冷菓の台頭要因は容易に推測できる。冷菓市場は思うがまま順調に伸びている。1リットル当たりのコストは野菜油が60ルピーであるのに対し、乳脂肪は300ルピーだ。つまり、冷菓のコストはミルク由来のアイスクリームよりも低く、例えば売値の低下に代表されるように、顧客の利益につながるのである。

冷菓業界関係者によると、「冷菓メーカーは低コストで得た余力を、広告費や販売促進費用に転化できる」という。またチャネル手数料上でもメリットがある。小売店へ支払うマージンは、Amul社が15%である一方で、Vadilal社は18%から20%である。Vadilal社は冷菓とミルク由来のアイスクリームの両方を販売している。

Kwality Walls社は、親会社であり急成長する巨大FMCG企業HUL社の後ろ盾の下、積極的な広告投資が可能だ。HUL社は、日用品店や飲食店で使われる冷凍庫の無償提供もしている。

それとは対照的にAmul社は同サイズの冷凍庫に対して1万5千ルピーから2万5千ルピーの料金をとる。2012年度のHUL社の冷菓事業における売上は30%上昇し、35億5千万ルピーであった。市場成長率15%よりも高い割合である。

Mother Dairy社常務取締役S. Nagarajan氏によると、ミルク由来のアイスクリームが顧客セグメントの高所得者層からの人気を高めている一方、冷菓はケータリングやファストフード店におけるシェアを急拡大している。「ミルク由来のアイスクリームメーカーにとっての心配事は、ケータリングや飲食チェーンといった販売チャネルに関わるものだ。そこでは、価格が重要な購買要因であり、冷菓はミルク由来のアイスクリームよりもずっと安い」(同氏)。

Vadilal Industries社常務取締役Rajesh Gandhi氏は、「味や栄養の観点からも、冷菓はアイスクリームに近く、消費者に訴求している」。これは、彼らの市場シェアが急速に拡大している理由でもある。

 

しかしながら、GCMMF社常務取締役R. S. Sodhi氏は、冷菓はアイスクリームになりすましており、消費者は冷菓をアイスクリームだと思って買っていると見ている。「原材料費を抑えられるため、アイスクリームよりも30%低価格で販売できる。私達は消費者に冷菓とアイスクリームの違いに気付かせようと努力している」と、Amul社のアンチ冷菓キャンペーンを引き合いに出して、同氏は語る。

粗悪食品防止法(The Prevention of Food Adulteration Act & Rules)の定義によると、アイスクリームとは“ミルクおよび(または)ミルク由来の成分の混合物を殺菌して凍らせたもの”である。一方、冷菓は“乳脂肪および(または)食用野菜油と、乳タンパク質および(または)植物性タンパク質をかけあわせた脂肪との混合物を殺菌して凍らせたもの”である。冷菓には普通パーム油またはココナッツオイルが使われる。

Amul社のキャンペーンは、ミルク由来の製品と油由来のデザートを区別するために、膨大な広告と特別なロゴが使われているカナダの酪農農家によるキャンペーンと似ている。Sodhi氏は、マーガリンとバターの並列について以下のように述べる。「マーガリンはバターに似ているが決してバターではない。価格帯すら異なる。マーガリンはバターの約3分の1の価格なのだ。これは冷菓とミルク由来のアイスクリームの場合も同様である」

ミルク由来のアイスクリームメーカーが自社商品を本物として確立しようとしている一方で、消費者はすぐには冷菓購入を止めるわけではなく、大きなブランド力を持ってしても冷菓の成長は失速しそうにない。Mother Dairy社Nagarajan氏は、「アイスクリームメーカーがトップの座を守るための唯一の方法は、イノベーションと新しい味の開発である」と語っている。

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