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【医療サービス】最新技術を駆使した結核との戦い

インドは世界で最も結核患者が多く、結核により年間30万人の命が奪われている。また、インドは薬剤耐性結核の震源地でもあり、世界で報告される新症例の1/4以上がインドで報告されている。

この現状を改善していくには、患者を取り巻く公衆衛生環境の改善だけではなく、患者の意識改革や行動変容を促すような仕組みづくりが必要になる。現在、政府機関や民間企業・関連団体等様々な関係者が、最新の技術を活用しながら、問題の解決に向けた取り組みが進められている。

政府は150万人の結核患者を記録するためのシステムについて、従来の紙媒体を元にした管理からウェブ主体の管理への移行を計画している。新システムでは患者に与えた薬や担当カウンセラー情報をデータとして記録する。患者が通院を怠ると彼らが所有する携帯電話にテキストメッセージが送信される仕組みだ。

政府はまた、結核対策資金を4倍に拡大することを検討している。研究ネットワークを広げ、結核の新しい症例があれば共有するよう医師たちに求めている。

コンピュータチップを利用することで、薬剤耐性結核を保有した患者を素早く同定する試験も行われている。

また、独立した衛生団体により実施されているASHA作戦では、指紋認証システムを導入することで、来院者を同定(及び未訪問者を特定)し、重篤化を予防する施策を実施している。指紋認証のモニターを行うASHAセンターは、デリーとその他2都市で運営されている。患者は指紋認証リーダーのガラスにその指を押し付けてログインし、医療従事者は彼らに薬を渡す。担当者はPC画面で来訪者の有無を確認し、一日の終わりには、誰に会いに行くべきかが自動テキストメッセージで送信される仕組みだ。来訪する患者は対処可能だが、来訪しない患者に対しては、治療を先延ばしにするほど処方箋の数も増え苦しみも増すことを説明・理解させる必要がある。それでも来訪しない患者は無くならないが、本システムを導入したことで治療を中座する患者は減少したとASHA作戦の代表Shelly Batra氏は語る。

結核と戦うためには患者だけではなく医療従事者への対策も必要だ。

2011年、少なくとも12人の患者において全ての医薬品に免疫を持つ結核菌に感染していることがムンバイの医師により報告された。発生原因としては、治療の際の不適切な薬品投与によるものと見られている。また処方箋なしで抗生物質を提供する薬剤師や、身分を偽り治療行為を行う者までいる。「多くの場合、医師は適切な薬剤投与を行なわず、患者のフォローもなされていない」ー2011年にインドでの結核対策プログラムを実施したAshok Kumar氏は、患者だけではなく民間の医療従事者の勤務実態をモニタリングするシステムの構築を考えている。

薬剤耐性結核を迅速に発見するためにはより高度な分析装置が必要だが、インドでは夏の暑さと頻発する停電が悩みの種だ。この問題を解決するために民間企業等では研究開発が進められている。バンガロールのBigTec社では、高温下でも稼働し、最小限の訓練で操作できる、インドの農村用で結核を判別するための携帯型電池式デバイスの開発に取り組んでいる。WHOはその試験は承認されておらず、更なる研究が必要と警告している。解決すべき課題はあるものの、携帯型の結核検査機器の開発は発展途上国の衛生問題を解決するインド発のイノベーションになりうるものである、と専門家は見ている。

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