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【鉄鋼】鉄鋼メーカーの小売事業、農村市場の需要開拓

インドの農村部において急増している鉄鋼の需要に対応するため、国内の主要鉄鋼メーカーは積極的なマーケティング戦略を展開している。それらは、Essar Steel社、Rashtriya Ispat Nigam社、JSW Steel社、Tata Steel社、Steel Authority of India社(SAIL)やJindal Steel & Power社(JSPL)を含む。

現在、インド農村部における1人当たりの鉄鋼消費量は平均10kgであり、都市部の平均60kgに比べ大分低い。Rashtriya Ispat Nigam社のMarketing-Retail Sales事業部、General ManagerのSudhakar氏は「当社は農村部までTMT(熱機械処理)鉄筋の流通網を拡大させるため、インド全土の761社のディーラーと提携している。また、当社は農村部の若者に向け、製図や溶接等の鉄鋼の使用方法を教えるトレーニングを実施している。これにより、製品調達が彼らの利益に貢献することを目指している」と語った。同社は小売の流通を通じ、2013年度には5万トンの売上を目指しており、2013年10月31日時点で2.2万トンの売上量を記録している。

TMT鉄筋の需要向上
インドの農村部における鉄鋼需要は住宅業界が主である。JSW Steel社Joint Managing Director件Group Chief Financial OfficerのSeshagiri Rao氏は「当社はフランチャイズモデルの小売事業を展開しているため、より小規模な町や村にも流通を拡大することが可能である。また、報酬制度の設置により販売員のモチベーション向上を可能にし、結果的に売上増加にも貢献している」と語った。同社はTMT鉄筋、波板、熱延コイルやカラーコーティングシート等の商品を自社小売チェーンJSW Shoppeで販売している。

また、近日”Jindal Panther”ブランドのTMT鉄筋を発売したJSPL社は「当社は流通業者(distributor)とディーラーによる二層モデルを活用している。現在は流通業者40社とディーラー1,000社を通じてインド全土に流通している。また、主に農村部で急増している需要に応えるため、軽量アングル材、チャンネル材や角材などの販売拡大を計画している」と語った。

現在、農村部消費者による鉄鋼製品の購入を抑制している最大の課題は、品質保証、価格決定の透明性や材料のカスタマイズのし易さ等が存在する。それらの問題を解決できた場合、農村部市場への円滑な導入が可能になる。Rao氏は「近年は、農村部の消費者の品質に対する意識が向上しており、適切な製品の探し方も知っている。これが鉄鋼製品の需要拡大につながっている」と語る。

業界関係者によると、各企業は価格設定の透明性を証明するため、自社のウェブサイトで鉄鋼製品の価格や価格設定の方法を公表している。SAIL社は農村部のディーラーに価格表を提供しており、消費者は購入時に確認できる仕組みを設けている。また、一般小売では業務用と比べるとより少量で購入する消費者が多いため、企業は消費者の需要に応じて少量製品にも対応している。

Rashtriya Ispat Nigam社のSudhakar氏は「当社はインド全土に23支店を保有している。これらの支店はパンチャヤット(村議会)の人々に供給しており、村人は同じ村議会に所属し信頼性のある人から製品を購入することができる。」と語った。

小売の急増
インドの鉄鋼企業による小売事業の展開が続々と続いており、国内の経済は低迷しているにも関わらず多くの企業の小売事業は拡大している見通しだ。

Essar Hypermart社のCEO、Girish Rao氏は「小売事業はEssar Steel社の総売上高の25%を占め、さらに販売網を強化し小売店の拡大を計画している。また、新製品の投入や市場シェアの拡大による事業増大も目指している。」と語った。同社は現在、自社運営店舗68店、及びフランチャイズ店舗300店を展開しており、マハラシュトラ州Mumbai、グジャラート州Ahmedabadやデリー首都圏(NCR)が同社の主要市場となっている。
また、JSW Steel社の小売事業も総売上高の25%を占めており、現在600地区に渡り425店舗を展開している。都市郊外や農村部の市場が主な成長市場となっており、同社のRao氏によると今後はtaluka(村)レベルにも流通網を拡大する見通しである。

専門家によると、インフラや自動車など主要産業の需要鈍化と経済の低迷に伴い、鉄鋼メーカーは新たな需要を開拓しており、小売事業は未開拓かつ巨大な潜在力を秘める市場である。

ICRA社のSenior Vice-President兼Corporate Sector Ratings部門のCo-Head、Jayanta Rao氏は下記のように述べる。「鉄鋼の小売事業は工業向け事業に比べ非常に良い成長率を記録している。経済全体が減速傾向にあるなか、大量購入を行う工業向け製品の売上も減少している。一方で小売事業では、一般消費者の直近の需要に応えることができるため、経済停滞による影響が少なく、現在の同業界の成長は主に都市郊外部や農村部から来ている。また、小売事業の拡大に伴い鉄鋼製品のブランド化やカスタマイズ化が進み、製品の宅配サービス等、小規模な顧客を対象とした新しい事業が生まれるだろう。」と語った。

JSPLは最近小売事業に参入し2015年度には総売上高の8~10%を占めると予想している。現在、既に661店舗の小売店を展開している。また、SAILのChairman兼MD、C S Verma氏によると、同社のIISCO Steel工場の近代化及び拡張、共にBokaro Steel工場における新たな冷延コイルの生産の開始により、小売店における自社ブランド製品の年間売上量は、現在の50万トンから100万トンに増加する見通しである。同社は、このような小製品を求める消費者の需要に対応するため、国内611地区でApna SAIL Shopと呼ばれる2,900店に展開している。

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