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インドの上にも10年

コラム「インドの上にも10年」 vol.1 

 インドの上にも10年
 Casa Blanca Consulting Pvt. Ltd. 代表取締役社長
 荒木 英仁
 2014年12月2日

 

 2002年の年の瀬も近い頃、私は日系広告代理店ADKのシンガポールオフィスでリージョナルな仕事に従事していた。シンガポールと言えば当時は誰もが羨む駐在員天国。日本人も3万人程住んでおり、まことに快適な生活であった。そんなある日、本社の社長から突然の電話。「荒木、シンガポールはインドに近いよな?ついでにインドも見てくれないかな~・・・」っと、軽いノリで爆弾発言。「はっ!?インドですか?」何故? 確かインドには自ら志願して駐在員事務所を開設したIさんがいるはずだが。 「社長、Iさんに何かあったのですか?」社長は少し口を濁らせながら・・「インドの過酷な環境で、あいつ相当参っていて、そろそろギブアップしそうなんだよな。」 はあー、でも何故私?「2か月に1回程度で良いから、出張ベースで現地の様子を見てレポートしてくれよ。」と半ば強制的に2003年の春にIさんから引き継ぎをして、私のインド参りが始まった。この時私の運命が大きく舵取りを始めていた事など知る由も無い。

 2年余りにわたりインドへの隔月出張を繰り返し、定期的に本社にレポート。そして2005年頭のリージョナル会議でバブルに涌くインド市場動向を発表した際に、社長がポツリと”そろそろうちもインドに戻るか?“。その時はまさか自分が送られるとは夢にも思っていなかったので、他人事の様に受け流していたのを今でも鮮明に覚えている。

 そしてその翌月2005年2月運命の日がやってくる。本社の海外本部長がわざわざシンガポールにやってくるなり、「荒木ちょっと時間をくれ。」シンガポール駐在も3年を越えていたので、そろそろ本社に戻される話かなあと軽い気持ちで面談。「荒木、大変申し訳無いのだが社長からの指名でインドに現地法人を立ち上げる為に駐在して貰えないか?最低2年、マックス3年で良いから・・・」 それからの私の心の葛藤と無駄な抵抗の部分は省略。

デリーのIT企業集積地Cyber City

 2005年5月1日、何も無いグルガオンに赴任。今のグルガオンの様にバックアップの行き届いた高層マンションは皆無。高速も無く、日本食も無く、まともなスーパーも無く、殆どの日本人駐在員がグルガオンを敬遠し、デリーに住居を構える中、オフィスに近い方が便利だろうという単純な理由で、無謀にも、牛、野豚、野犬、マングース、リス等、数多くの野生動物?が今でも生息するグルガオンの一軒家に住み始めた。

 あれから10年、想像を超える様々な出来事に遭遇してきた。予期せず子供も授かった(その時私は既に49歳に達していた)。そう、我が長男は正真正銘のインド生まれである(国籍は日本)。今やグルガオンはインドで最も近代化が進んでいると言われる程発展を遂げた。猛烈なスピードで様変わりしたグルガオンに住み続け、10年余りに渡りインド特有の奇想天外なマーケティングに揉まれた末、2013年末、インドの政権が変わり安倍首相と仲の良い親日派のモディ新首相が誕生する事を期待しつつ辞職を決意。今までインドで培った知見、人脈を生かし、少しでもインドと日本の距離を縮める事を目的に2014年の3月末にビジネスコンサルティングを開始した。

 このコラムでは今まで、私が見聞きしてきたインド特有のマーケティングのトピックスを中心に皆様に知らされざるインド、旬のインドを少しでも紹介出来ればと思う。

 

インドのトップブランド

 2013年度末に発表されたインドのトップ100ブランドに日系ブランドが幾つ入ると思いますか?10?20?答えは0である。そうですゼロ(皆無)。世界広しといえども、これほどまでに日本ブランドが浸透していない国は珍しいと思う。ソニーもパナソニックもホンダもトヨタも90年代からインドに進出しているのに。

 2013年12月にEconomic Times (インドの日経新聞)が発表した統計によると1位はColgate、2位Dettol、3位Clinic Plus、4位Lifebuoy、5位Lux、6位Maaza、7位Nokia、8位Airtel、9位Closeup、10位Maggi・・・と殆どが欧米系のFMCGブランドで占めている。勿論インドに進出しているB to C日系ブランドは主に自動車、自動2輪、家電に限られ、FMCG系は限られるので上位に来るのは難しいとは思うが、何とも寂しい限りだ。

 因みにSamsungとLGはしっかりトップ100ブランドに入っている。少し前まで日本のお家芸であった家電部門でさえ、上位10位の中に名を連ねるのはソニー(4位)とパナソニック(9位)だけだ。なんでやねん!?という感じだが、インド市場の事情が他のアジア諸国と大きく違うのは90年代の市場開放までインド産の自動車、家電メーカーが幅を利かせていた事実。では何でSamsungやLGブランドはこれほどまでにインドに受け入れられて浸透しているのかはまた別の機会に書くことにする。

“Most Trusted Brands 2013″トップ100ブランド
(出所:Economic Times記事より作成)

  “Most Trusted Brands 2013″家電トップ10ブランド 
(出所:Economic Times記事より作成)

 

 

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著者プロフィール


荒木 英仁

Casa Blanka Consulting Private Limited 代表取締役社長
www.casablankaconsulting.com

 

前 Asatsu-DK-Fortune Communications (世界最大のコミュニケーショングループWPPと日本第3位の広告代理店アサツー ディ・ケィの50/50 JV会社)代表取締役社長。30年余りに渡り海外マーケティングに従事して得た知見と12年余り(連続駐在歴10年)のインドビジネスの経験を生かし、インド市場で苦労されている日系企業、これからインド市場に挑む日系企業、並びに在印日本人、日本市場を対象にビジネス展開を目論むインド企業に対して、リーズナブルな価格で最大のサポートバリューを提供すべく、2014年3月末、インドで最も発展を遂げているグルガオンにて、カーサ・ブランカ コンサルティングを設立。

 

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