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インド各地の地元ガイド紹介ビジネス

コラム「起業家が見た、巨大インド市場を狙う新ビジネス」 vol.1 

 インド各地の地元ガイド紹介ビジネス
 インド事業開発・事業投資専門
 “パミット”
 2014年12月9日

 

 

 

 基本情報 
 会社名 SeekSherpa社
http://seeksherpa.com 
 設立 2014年
 本社 デリー
 事業内容 インド各地で地元ガイドによる
ツアーを提供するサイトの運営

  

   インドは、その人口の多さや国土の広さからアジアの大国の一つであり、経済的には今まで成長期と停滞期を繰り返しながらも将来大きく成長するだろうと期待されている国です。インドの経済の中心を担うタタ・リライアンスといった財閥グループや、Infosysなどに代表されるすでに巨大化したITサービス企業の名前は日本でも耳にしますが、これから先、この巨大市場を相手に新しく事業をスタートしようとしている会社はどのような市場を狙おうとしているのでしょうか? それらの会社と日本の会社が組むことで何かシナジーが生まれるような分野があるのでしょうか? 環境変化が激しいインド市場で先を予測することはとても難しいですが、これからいくつかの実例を紹介する中でインド市場を考える切り口を提供できればと思っています。
 

  シェルパとはネパール及びインド北部に住む少数民族で、ヒマラヤ登山の道案内をしてくれることでも知られています。SeekSherpa社は、名前の通り、インド各地を観光で訪れた時に地元に詳しい人(シェルパ)を探して案内してもらえるサービスを提供する企業です。例えば、地元グルメレポーターによるデリーの食品市場案内、生まれ育った街ムンバイのファッション市場での格安ショッピング案内、といったユニークなコンテンツを提供できるガイドを取り揃えています。事業モデルは、マーケットプレースを提供をして地元ガイドと観光客のマッチングを行い、地元ガイドのツアー実施による収入金額の20%を会社が受け取る形態をとっています。SeekSherpa社は、地元の各分野に精通しており、かつ、余った時間を有効に活用したいと思っているツアーガイドの応募を受け付け、経歴・専門性の確認を行いガイドを選定、ガイドが提案するツアー内容・金額・実施スケジュールをモバイルとWebで提供しています。
 

SeekSherpaの検索ページ(会社ウェブサイトより)

ツアーガイドのページ(会社ウェブサイトより)

 共同創業者は、元々Google及びコンサルティング会社のA.T. Kearneyで働いていた二人が、IT業界で起業家と投資家を結びつける団体、Nasscomに事業計画を提出したところからスタートしました。その後、Venture Nurseryというエンジェルグループから初めての投資を受けて現在に至っています。昨今、最大手のFlipkartやソフトバンクが最近出資した事でも知られるSnapdeal といったEcommerce企業の激戦・大型投資がインドのメディアを賑わせている様子は、90年終わりから2000年初めにかけての日本のインターネット・バブル時代を彷彿とさせます。技術系の名門校であるインド工科大学(IIT)を卒業してそのような事業を創業して上場し大成功する華々しい話題がメディアに頻繁に登場します。12億人の人口の国で、年率30%以上でオンラインショッピングをする人が増えているとの報告もありインターネット関連企業の将来性が期待されるのは自然の流れですが、激しい競争の中で生き残っていくために各社とも必至になっているのも実情です。そんな中で、SeekSherpa社も20代前半の若者がアイデアのみで始めた会社ではあるものの、無数の事業提案の中から投資家に取り上げれシードマネーを得られた数少ない事業の一つとして今後を見守りたいものです。
 

  インドの国内旅行・観光支出総額は日本の約半分の約11兆円だが、成長率は日本がほとんど成長していないのに対してインドは年率10%で成長しているという試算もあります。このような環境の中で、SeekSherpa社は、インド人相手の国内事業だけでも十分に発展を期待したいところです。また、インドには毎年約20万人の日本人が訪れており、バックパッカーも含めてこのようなニッチな旅の発見を期待している旅行者は多いのではないでしょうか。日本語も含めた外国語ができる地元ガイドとのマッチングがあれば、現在はSeekSherpa社が提供している1,000ルピー程度(2,000円弱)のツアー価格も、顧客購買力に合わせて更に高めに提供することができ事業性も向上します。日本の旅行会社にとっては、昨今、より個性的な旅行を提供する努力をしている中で、このようなインドのコンテンツを抱え込むことは差別化の材料となりそうです。また、日本国内に目を向けると、国は外国人訪日客の目標を2,000万人と定め、今までのような大都市観光だけではなく、訪日客に地方都市の魅力を発見してもらう政策を掲げています。SeekSherpa社のシステムを使い、日本の各地域のユニークな観光コンテンツを載せることが可能になれば、インド発で日本に貢献する事業に発展していくかもしれません。


 これからシリーズで、このような巨大インド市場を狙う新しい動きをお伝えしていきます。
 

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著者プロフィール


 “パミット”
 インド事業開発・事業投資専門

 Eコマース事業で起業・資金調達・事業開発を経てエグジット後、戦略コンサルティングファームにて
 消費財マーケティングに関わる。現在は、インド企業を対象としたM&A及び買収後の経営に従事。
 インドにて、日本の強さが活かせる革新的な事業を各パートナーとともに構築中。デリー在住。

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