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インドのランチ事情に変化が?新鮮なサラダ宅配サービスが登場

コラム「起業家が見た、巨大インド市場を狙う新ビジネス」 vol.2 

 インドのランチ事情に変化が? 
 新鮮なサラダ宅配サービスが登場
 インド事業開発・事業投資専門
 “パミット”
 2014年12月22日

 

 

 基本情報 
 会社名 Amicus Natural Products社
http://www.saladdays.co 
 設立 2014年
 本社 グルガオン(デリー近郊)
 事業内容 サラダ宅配サービス

 

インドの外食事情

 インドでは、家族での食事はお母さんが作ってくれるインド料理を自宅で家族一緒に食べることが普通でした。しかし少しずつ所得が上がってくるにつれて、記念日など特別なときには家族や友達などと外食をする機会も多くなってきています。インド料理といえばスパイスが効いて味の濃いカレーが中心ですが、他に好まれる外食は、カレーのようにソースを多用するインド化された味の濃い中華料理です。元来、ベジタリアンが多く、味に対しては非常に保守的な人が多かったのですが、海外に行く人も増え、イタリア料理など外国料理の人気も高まりつつあります。職場でのランチも同様に、これまでは自宅から弁当を持ってきて、慣れ親しんだ家の味を楽しむのが普通でした。ムンバイでは、自宅で作った弁当を宅配してくれるサービスがあり、毎日18万個の弁当を間違えなく指定のオフィスに昼前に届けるサービスがあるほど、弁当を食べるのは一般的なことです。ところが都市化が進み、地方から一人で働きに出てくる人も多くなり、毎日自宅で弁当を作れない人などが増えてくるに従って、お昼をオフィスの外で済ます人も増えてきています。普通のオフィスに勤める人でも、近くの路上の屋台で20ルピー(約37円)のサモサを食べたり、マクドナルドに行って200ルピー(約370円)のベジーバーガーセットを食べたり、あるいは宅配でピザを注文したりしています。
 

IT集積地グルガオンにある屋台の様子

 

「Salad Days」

 そんな外食文化の盛り上がりを更に先取りするのが、今回紹介するサラダの宅配サービス「Salad Days」です。グルメパスタサラダ、チキンシーザーサラダ、ザクロとナッツのサラダ、といった約20種類のサラダを250ルピー程度(約450円強)でホームページ及びFacebookで販売しています。配送料は距離によって15ルピー~100ルピー程度払いますが、特に最低注文金額等の設定はなく、指定の場所に届けてくれます。この会社があるグルガオンという都市は、デリー中心部から1時間程度の郊外にある新興オフィス・住宅街で、周囲に新しいオフィスビルや高層マンションが次々と立ち始めている地域です。実店舗は持たず宅配に特化してサービスを提供しており、グルガオン中心部の主要なオフィスビル・高層マンションをカバーできる場所に配達拠点を設けています。

 

Salad Daysのサラダ

 人々の移動が国内外で活発になるにあたって、今までインド北部に位置するデリーではインド北部の料理しか食べなかったのが、南部や東部の料理を食べるようになったり、外国の料理を食べるようになっており、インドの外食業界ではその動きを取り込んだ新メニューを提供するレストランが話題になっています。しかし、依然としてインド料理が主体であり、健康を意識してサラダを主食あるいは主食の一部として宅配注文して食べることを提案するのは、かなり世の中の動きを先取りしていると言えます。また、外資系企業が多く集まり、外国人も多く住むグルガオンだからこそ提案できるサービスなのでしょう。

 「Salad Days」はインドのITアウトソーシング大手のWiproで働いていたMadan氏とバイオディーゼルのベンチャー企業で働いていたGangwani氏の二人によって創業されました。二人は元々、ベンチャー育成のプログラムがあることでも知られインドで最も歴史のあるビジネススクールXLRI 大学に通っていた友達同士で、健康的で質の高いサラダを提供することに意気投合して始めました。現在はこのグルガオンにある一店舗のみですが、エンジェル投資家からの資金調達も検討しながら、デリー都市圏に多店舗展開して広く浸透させていく事を目指しています。

 

日系企業との発展の可能性

 日本の停滞感をよそに、インドの外食産業は毎年7%で成長しています。そのほとんどは零細飲食店が占めるものの、近年、システム化されたチェーン店業態が急速に発展しており、その成長は全体の成長率を凌ぐ年率15%となっています。Sequoia CapitalがインドのファーストフードチェーンFaaso’s社に投資するなどベンチャーキャピタル業界の中でも、注目される投資分野になっています。一方で、日本は外食に加えて中食(外で調理されたものを持ってきてもらう、または持ち帰る)という言葉が完全に定着するほど食関連業界が成熟しています。

 「Salad Days」は、実店舗を持たないローコストオペレーションに特化して発展する際に、宅配寿司「銀のさら」など食品鮮度を大切にする日系宅配関連企業とパートナーを組みオペレーションを効率化していく事もできるでしょう。また、ロック・フィールドなどノウハウを持った日系中食関連企業とパートナーを組み惣菜店業態・イートインの形で発展させていく事も考えられるでしょう。食は文化に根差したものであり、スパイスを使い調理されたインド料理に慣れた人々と、素材を引き立たせる日本の料理に慣れた人々の感覚は全く違うものであるため、現地パートナーとの連携は欠かせません。また、人材の質にばらつきがあるスタッフの管理や顧客が求める価格を実現するコストの管理の観点からも、日本とは全く違う環境のため大きな障壁があります。しかし、これらの課題を乗り越えることができれば、人口増加と相まって2030年までに12億人が中間層になると言われるインドで、大きなブランドを構築できる可能性も見えてきます。

  

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著者プロフィール


 “パミット”
 インド事業開発・事業投資専門

 Eコマース事業で起業・資金調達・事業開発を経てエグジット後、戦略コンサルティングファームにて
 消費財マーケティングに関わる。現在は、インド企業を対象としたM&A及び買収後の経営に従事。
 インドにて、日本の強さが活かせる革新的な事業を各パートナーとともに構築中。デリー在住。

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