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みんなスカパー!?日本より進んでいるインドのテレビ事情

コラム「インドの上にも10年」 vol.4 

 みんなスカパー!?日本より進んでいるインドのテレビ事情
 Casa Blanca Consulting Pvt. Ltd. 代表取締役社長
 荒木 英仁
 2015年1月27日


今回は多種多様なエンターティンメントが全国に広がる日本とは違い、いまだにテレビ番組が国民の娯楽の王座に君臨しているインドのテレビ事情にフォーカスを当ててみたいと思う。

 

 2013年のインドのテレビ保有世帯数は1億6,000万を超え、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位のテレビ王国となった。また日本の様に未だ地上波が幅を利かせている市場では無く、インド唯一の地上波である国営放送(DD National)の2チャンネル以外は約800チャンネルの衛星とケーブル放送局が凌ぎを削っている。正にテレビ戦国時代である。更にインド政府の指導で2014年末に全てのテレビ放送がデジタル化を果たした。雄大な国土をカバーする為に、今や衛星放送が主流で、各家庭は住む地域の衛星放送配給会社、或いはケーブル会社で自分の趣味趣向、予算に合わせたパッケージを契約し視聴している。2013年度のケーブル及び衛星放送契約者数は1億3,900万世帯であるが、2018年にはこの数が2億世帯を超すといわれている。

 テレビ先進国のアメリカのTV業界の伸長率が年2%程度なのに対して、インドは15.8%の伸長率である。またエンターティンメント産業売上全体の中でも断トツの45%を占めている。2位は新聞で27%、3位は映画で14%。また日本の地上波が売上の大半を広告収入で賄う中、インドのテレビ業界は収入の70%近くを衛星配給会社から得ている事で比較的安定している業界である。更にテレビの普及率はインド全世帯の未だ60%であるのでまだまだ余力が十分あるという事実。

 多種多様の放送局が乱立する中で人気(高視聴率)があるのはやはりソープオペラ(ドラマ)やリアリティショー(バラエティ等視聴者参加型番組)等の娯楽番組、ボリウッドやハリウッドの映画番組、クリケットを中心としたスポーツとニュース専門チャンネルである。また、多くの日本人がそうである様に、インド人もお笑いの要素が結構好きである。

  

Indian Family

インドのテレビ番組


人気No.1 ドラマ “Diya Aur Baati Hum”

 2011年8月に始まった不動の人気ドラマ。お菓子屋を経営する夫と警察官の嫁、そして姑との確執。数々の事件に巻き込まれながらも2人が協力仕合い解決していくアクションも多彩で、涙あり、笑いありの人間模様も満載なホームドラマ。

  ”Diya Aur Baati Hum”のエピソードを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=VJlM8ou2vwI

 

人気No.1お笑い “Comedy Nights with Kapil”

 インドのトップコメディアンがホストとなり、毎回色々なゲストを迎えるバラエティショー。

  ”Comedy Nights with Kapil”のエピソードを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=sT-dypKBmoU

 

リアリティーショー(テラスハウス的な) “No.1 Big Boss 8”

 売出し中のモデル、役者、パフォーマー等、色んなジャンルから選ばれた参加者が一つ屋根の下に住み、BIG BOSSという声だけの指令者(チャーリーズエンジェルのチャーリーの様な)からの難題に挑戦していき、視聴者の投票により一人ずつ脱落していき最後に残った人が賞金を獲得していくような番組。既にシーズンも8回目を迎える人気番組である。

  ”No.1 Big Boss 8″のエピソードを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=I_Y-_CtCce4

 

インドのTVコマーシャル

 前にも少し触れたが、インドの消費者にとってテレビに出ないブランドは信用されず、未だにテレビコマーシャルはインドでのブランド浸透(日系企業は中々ここに投資出来ずに伸び悩んでいる)、マーケティング(商品配下にも)には必要不可欠な要素である。そしてこれだけ多種多様のチャンネルが存在する中で(平均的なインド家庭は約100チャンネルのパッケージを契約し毎日その中から見たい番組を選んで視聴している。)記憶に残るコマーシャルを制作するのは至難の業である。そんな過酷な環境の中で、印象に残るインドを代表する様なテレビコマーシャルを幾つか紹介したいと思う。どれも機能や効能を訴求というよりは感性に訴える様なエモーショナルな作品が多いのが特徴である。
 

1. FAVICOL

 これはインドの接着剤メーカーが使用した作品であるが、インドの地方のあちこちで見られる乗車率200%越えのバスが悪路を走行し、それをただひたすら撮り続けただけの作品である。商品特性とか効用等は全く訴求していないが、インパクトのある映像と最後のオチだけでブランドを印象付けた素晴らしい作品である。

  ”FAVICOL”のテレビCMを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=fPPQlVMB3RI

 

2. MTS

 これは結構最近の作品であるが3G(高速)を訴求した作品。最近の子供はデジタル化が進んでいる事を更に進めたアイデア。今時の赤ちゃんは生まれながらネットに繋がっているというメッセージである。インドのデジタル時代の到来を示し、ビジュアルのインパクト、展開の速さ等で話題になった作品。

  ”MTS”のテレビCMを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=AzWK-x5WlXk

 

3. Google

 世界のGoogleがインドに放った作品。今でも緊張の続くインドとパキスタンというセンシティブな題材起用しているが、とても感性豊かに仕上げた作品である。“Googleが世界を繋ぐ”という強力なメッセージをGoogleの機能で上手く訴求し、インドもパキスタンも昔はひとつだったという事実をエモーショナルに表現している作品。

  ”Google”のテレビCMを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=gHGDN9-oFJE

 

4. Tanishq

 これは宝石メーカーが結婚式を題材にした作品。インドでは結婚式は日本以上に人生最大のイベントとして位置づけられており、通常でも1週間程度もかけて行わる盛大な式典である。但し、この作品の特筆するべき点は、今までインドでもタブー視されていた再婚を題材にした点である。トーン&マナーを明るくそしてソフィスティケートに仕上げた事で再婚というネガティブなイメージを払拭し、そこに花を添える宝石と位置づけたところが素晴らしい。

  ”Tanishq”のテレビCMを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=P76E6b7SQs8

 

5. Sony Bravia

 このTVコマーシャルは私が広告代理店当時担当した作品(2006年)である。その頃はソニーがグローバルブランディング戦略としてアメリカや製作された統一TVコマーシャル(https://www.youtube.com/watch?v=0_bx8bnCoiU)を世界同時に展開していたが、インドでの受けはいまひとつであまりブランド認知効果が得られなかった。何とかブラビアブランドをインドで浸透させるべく、当時のソニーインディアの社長の英断によりインド人がインド向けに制作する事となった。”Color of India Comes Alive”のキャッチコピーと共に、ブラビアというブランドがインドでの市民権を得るきっかけとなった。

  ”Sony Bravia”のテレビCMを見る:
  https://www.youtube.com/watch?v=_cgv7ILhDi0

 

 

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著者プロフィール


荒木 英仁

Casa Blanka Consulting Private Limited 代表取締役社長
www.casablankaconsulting.com

 

前 Asatsu-DK-Fortune Communications (世界最大のコミュニケーショングループWPPと日本第3位の広告代理店アサツー ディ・ケィの50/50 JV会社)代表取締役社長。30年余りに渡り海外マーケティングに従事して得た知見と12年余り(連続駐在歴10年)のインドビジネスの経験を生かし、インド市場で苦労されている日系企業、これからインド市場に挑む日系企業、並びに在印日本人、日本市場を対象にビジネス展開を目論むインド企業に対して、リーズナブルな価格で最大のサポートバリューを提供すべく、2014年3月末、インドで最も発展を遂げているグルガオンにて、カーサ・ブランカ コンサルティングを設立。

 

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