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パラメータ分析(相手の心をつかむ)

コラム「インドビジネスの原点を考える中で団塊世代が次世代に残したいもの」 vol.4

 パラメータ分析(相手の心をつかむ)
 中堅鉄鋼商社オーミインダストリー 元デリー駐在員事務所長
 加納 恭夫
 2015年1月29日

 

インドのビジネスマンとの会話について、二つの事例を挙げて留意すべき点を書いてみました。

 

中堅企業のオーナーの20代後半の息子さんと、将来のインドに必要なものについて何回も議論したことがありました。 

ある日、彼から「加納さんの話は面白く、興味深いものであることは判るのですが、話が長く論理の展開が飛んでしまうことがあり、話を自分で整理するとなるとわからなくなってしまいます。私はイギリスの大学でMBAを取得していますが、そこで学んだことの一つはパラメータ分析です。視点を簡潔な言葉で表し、種々の視点の言葉を目的に向かって組み合わせていくといったやり方です。一度そうしたやり方で説明してもらったら、迫力のあるものになると思います」と言ってきました。 

私はある問題意識の視点から紙芝居的に物語を作り、ビジネスの目標を作り上げることが得意であると思っていました(自分からはビッグマウスセールスマンと表現していましたが)が、確かに日本の若い方々からも話が長い、句読点がないので判りづらいとよく言われていました。それに対して、問題意識を感じるのが鈍いからわかりづらいのではないかと反論していましたが、この若いインド人の言葉には迫力が感じられ、彼を何としても納得させてやろうと思いました。

そこで、初期投資の大きい太陽光発電をどのような形でインドに浸透させるかといった問題意識をベースに、以下の様にパラメターを設定し話を進めてみることにしました。 


<TIME IS MONEY>

<MIND SET>
<MOTTAINAI>


10%を上回る市中金利の中で、施工に時間をかけていては高コストになるので(TIME IS MONEY)標準サイズを5種類程度用意し、それを組み合わせてそれぞれの既存の工場の屋根の上に設置し、工場の必要電力を自前で作り出す。
日本の製品をメインに使用し、25年間の品質を保証することによって(MIND SET)し、工場の屋根のスペースが活用されていないのは(もったいない)ので活用する、といった考えを三つのパラメータで表現しました。

このように説明すると、息子さんは私の考えをはっきりと理解し、かつ自分でそれを第三者に説明することができると胸を張って語ってくれました。

今のインドの若い方々は、欧米の大学に進学し、それこそMBA的発想で物事を考えることを誇りに思っていると思われます。ただインド的な文化の原点の上にこのような発想が載っているところがあり、私から見るとかなりレベルの高い発想を展開できるのではと思います。私のビッグマウスをそれなりに評価し、自分たちの尺度に合わせてみて欲しいと謙虚な一面もうかがえるのでは、とこの会話から感じた次第です。

 

 

今度はヨーロッパ系の部品メーカーの社長に面談した際のお話です。日本から出張してきた営業マンが種々質問を社長にしたところ、突然社長のほうから以下の言葉をもらいました。 

「いったい貴社は私と何がしたいのですか。質問ばかりされていてもその質問を行う理由、すなわち何がしたいのかが明確にならずに質問されてもはっきり言って答えようがない。
韓国の企業は、まず自社の立ち位置を明確にしたうえで何がしたいのかを説明し、それをベースに種々質問をしてきます。でも大方の日本の企業はまず我々の会社に関して質問ばかりしてきます。前々から疑問に思っていたのですが、さすがにイライラしてきました。最終的には日本の品質が良いので最後には日本のものを購入することになりますが。」

私も同じような感覚を持っていましたので、何とも言いようのない気持ちになったことを思い出します。

 

上述の例は、ある意味で汗と涙を流し、深いお付き合いができているが故に聞ける話ですが、そこまでのレベルまでお付き合いの深さがない場合、このような気持ちをインドのビジネスマンは持ちやすいといった点を是非参考にしてもらいたいと思います。

自分だけが主語となり自分のものがいかに良いかを一方的に説明したり、上司への報告の為といった本質から外れた相手の立場を考えない観点から会話を行うといったことが最近の世代の方々に見受けられます。やはり相手の心の中に入り込み、そしてともに考えていくということを心に留めていただきたいと思います。

 

以上 

                  

<御社のインドビジネスをお手伝いします>
株式会社 インダストリー (顧問 加納恭夫)
info@industree.asia

 

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著者プロフィール

 

 

加納 恭夫
中堅鉄鋼商社オーミインダストリー 元デリー駐在員事務所長

 

 

 前52歳まで大手総合商社に勤務し、最後の職責は米国法人の物資不動産部門長兼シアトル支店長。同社を退職後、IT企業の社長、ベンチャー企業の社長等を歴任し、現在中堅鉄鋼商社の顧問等を行っています。
 40年以上の歴史の中で、中近東へのセメントの輸出、三国間貿易において新規な物流方法をあみだし(袋ものセメントからバラセメントでの輸送等)世界の貿易量の7%のシェアーを握るまでのレベルに成長させ、その後、台湾、米国に駐在し、合弁事業の立ち上げ、企業の買収、また、中堅鉄鋼商社のインドでの独立法人設立等、多岐にわたる分野において経験を積んできています。(65国に出張)
 現在の日本をそうした経験から見てみると、結果論だけで物事の判断を行ったりといった、あるいは人のせいにしながら自分を守るとかといった風潮が見られ、ちょっと寂しい感じを抱きます。我々の世代は大いなる問題意識をもってそれこそ汗と涙を流し、そして仕入先、販売先の人たちそして社会に貢献したいとの愛をもって取り組んできていたと思います。そうしたわれわれの世代の経験を次代に引き継ぎたいという思いで今回の執筆を行いたいと思います。

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