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インドで5倍の値段でチャイが売れる!ハーバード卒業生が創業した飲食チェーン

コラム「起業家が見た、巨大インド市場を狙う新ビジネス」 vol.5

 インドで5倍の値段でチャイが売れる!ハーバード卒業生が創業した飲食チェーン
 インド事業開発・事業投資専門
 “パミット”
 2015年2月17日

 

 基本情報 
 会社名 Chai Point社
http://www.chaipoint.com
 設立 2010年
 本社 バンガロール
 事業内容 チャイ(インド紅茶)店運営

 

インドのチャイとコーヒー

 インドでは小さなおちょこぐらいの大きさのコップに非常に甘いミルクティを入れて飲む習慣があります。チャイといわれるこの紅茶を、ちょっとした仕事の息抜きに一杯、会議の合間に一杯、街で人とおしゃべりをしながら一杯など、朝から晩まで頻繁に飲んでいます。オフィスでは、ティーボーイが大きな水筒にチャイを持って一日中巡回しているので気軽に飲めますし、外ではどこの街角にもチャイの屋台があり、一杯5-10ルピー程度(10-20円)で飲めます。

 一方でコーヒーもよく飲まれます。会議の合間に飲み物の希望を聞けば、半分の人はチャイ、残り半分の人はコーヒー、極稀にインドの薄い緑茶を頼む人がいる、といった様子でしょうか。コーヒーのチェーン店では、2013年にインドで初めてスターバックスがオープンして以来、現在既に60舗ありますし、他にCosta Coffeeなどの大手外資や国内大手の各コーヒーチェーンが100-200店舗ほど展開しています。それと桁違いに大きいのは、最大手のCafé Coffee Day(CCD)で、全国に1,600店舗ほど展開しています。CCDの歴史は意外と浅く、1996年にバンガロールで初めて出店し、たった20年の間に第二位以下を圧倒的に引き離して強力なブランドを構築しています。 

 


道端にある一般的なチャイスタンド

 

開業4年で40店舗

 同じバンガロールで“チャイのCCD”を目指して2010年に開店したのが、Chai Pointです。メニューは、マサラ・チャイ、ジンジャー・チャイ、レモン・チャイといったインド人が普段よく飲むチャイに集中したメニューを30-40ルピー(60-80円)で提供しており、開業後4年間でバンガロールやデリーを中心に既に40店舗程度展開しています。

 その他に、Chai PointはChai @ workというブランドでありとあらゆるオフィスにチャイを届けるべく、オフィスの空きスペースに超小型店舗を展開したり、ティーボーイを派遣したり、チャイ自動販売機を設置したり、電気バイクでチャイをオフィスに宅配したりしています。


Chai Point店舗内
(Chai Pointウェブサイトより) 


テラス席がある店舗もあります 
(Chai Pointウェブサイトより)  

 

ハーバード卒業生が貯金を使って開店

 Chai Pointの創業者は、ハーバードビジネススクールを卒業した後、一度はIT業界でEMCに勤めていました。仕事の合間にオフィスの外に出て道端のチャイを飲んでいたのですが、衛生状態の悪いお店が沢山あり、もう少し質の高いチャイが提供できないかという思いから、300万ルピー(約600万円)の貯金を使ってChai Pointを創業しました。現在では、CFOにゴールドマンサックス出身者を迎え入れるなど、経営陣も整ってきており、昨年にはEC最大手の一つSnapdealにも出資をしているベンチャーキャピタルから1億ルピー(約2億円)の出資を受けています。ちなみにそのSnapdeal は昨年、ソフトバンクから700億円強の出資を受けたことで知られています。

 

飲食・サービス業のリバースイノベーション

 Chai Point一店舗の初期投資には約90~180万ルピー(約180~360万円)かかり、日本に比べれば初期投資は少なく見えます。一方で、インドでは店舗の賃料が高騰しており、このような客単価の低い業態では採算性が厳しくなる事例が多く見られ、家主と利益折半の契約をするなどの工夫をする場合もあります。このような状況の中で短期間にこれだけの多くの店舗網を構築してきた実績の背景には、顧客の望む高い品質と手に届きやすいコストを実現させる無駄のないオペレーションを構築してきた事と環境に臨機応変に対応する力があったからであり、これらは日系の飲食関連企業にとっても学ぶべきものが多いと言えます。GEの医療機器に代表されるように、必要な機能を絞ってコストを抑えた製品などが新興国の事業環境で生み出された製品が先進国にも広がるリバースイノベーションは、飲食やサービス関連業界に起こってもおかしくありません。

 

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著者プロフィール


 “パミット”
 インド事業開発・事業投資専門

 Eコマース事業で起業・資金調達・事業開発を経てエグジット後、戦略コンサルティングファームにて
 消費財マーケティングに関わる。現在は、インド企業を対象としたM&A及び買収後の経営に従事。
 インドにて、日本の強さが活かせる革新的な事業を各パートナーとともに構築中。デリー在住。

 


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