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Invest India(インベスト・インディア)

コラム「Make in India(メイク・イン・インディア)」vol.1

 Invest India(インベスト・インディア)
 株式会社チェンジ プリンシパル・コンサルタント
 Saurabh Srivastava 
 2015年4月9日   

 

make in india
なぜ今インドなのか?

 インドは最も経済成長が早い国の一つとして、近年、世界中の投資家から大きな注目を浴びている。1991年から始まった経済改革によって、インドは着実に外国投資の促進およびG20やBRICS等の国際機関、ASEANやEU等の自由貿易地域における発言権を強化させてきた。

 

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 インドのGDPは2003年から2012年の間で約7.9%の成長を遂げており、国際通貨基金(IMF)によれば今後数年間はこの傾向が続くと予測されている。また、2014年の同国の購買力平価(PPP)ベースでのGDPは7.3兆ドルで世界第3位であり、名目GDPでは1.9兆ドルで世界10位の規模を誇る。

 この結果に対しインド政府は、近年の世界経済の低迷やユーロ危機による外需減少の中でも国内経済は好調な成長を遂げたと主張し、現在の第12次5ヵ年計画(2012~2017年)において8%のGDP成長率を達成するという野心的な目標を発表した。

 

インドの人口ボーナス
 インドは世界で最も多い人口を抱える国のひとつであるだけでなく、世界で最も若い人口を抱える国のひとつである。全人口の半数以上が25歳未満であり、三分の二が35歳未満である。また、人口の60%以上が15歳から64歳までの労働人口であり、コスト競争力や安価な労働力の供給を実現している。さらに、インドの労働人口のほとんどが高い英語能力を保有していることから、多国籍企業の海外事業展開の候補地として魅力的な市場とされている。マッキンゼーの調査によると、インドの消費市場は年間7.3%で成長し、2025年までには世界最大規模となると予測されている。そして最も注目すべき点は、この内の約70%がエンターテイメントやヘルスケア、通信、教育、パーソナル製品、サービスなどの非生活必需品であることである。

 

投資環境の改善と外資誘致政策
 インドへの海外直接投資(FDI)の流入額を見ると、いかにインドが世界中の投資家から注目されているかがわかる。FDIを促進させている主な要因としては、経済自由化の安定性や規制緩和等の世界経済への歩み寄りが挙げられている。近年、インド政府は鉄道インフラ(一部運営を除く)や通信サービス業、単一ブランドの小売業などの分野において100%までのFDIを自動認可ルートで許可し、建設業についても大幅な規制緩和を発表した。また、外国企業の最新技術を導入するため、防衛機器産業におけるFDI限度額を従来の26%から49%に引き上げた。内閣安全保障委員会(CCS)の個別許可により49%以上のFDIも可能となった。また、保険分野においては、従来のFDI上限26%を49%まで緩和する法改正を行った。

 インド準備銀行(RBI)は海外投資家に対し、本国送金を原則にインドの公開企業による無転換で償還が予定されている優先株式や社債の発行を認めている。また、外国投資家による債券や株式市場への投資を促進させるため、RBIは外国ポートフォリオ投資家(FPI: Foreign Portfolio Investors)による公開買付けや自己株式の取得、中央・州政府保有の株式や債権の投資処分などを許可するフレームワークを発表している。

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新政権による変化
 しかし、EU危機がもたらしたグローバル経済への影響は大きく、未だに完全に回復したとは言えない状況である。近年では中国から多くの製造業が中国国内から撤退し、経済低迷が目立っている。その他のBRICs諸国もそれぞれの課題を抱えているが、そのような中でインドは世界の投資家から注目を集め始めている。石油の国内需要の70%以上を輸入しているインドにとって、原油価格の下落は経済成長を加速させる結果となったことに加え、魅力的な投資環境作りを掲げる新政権の発足に伴い、海外投資家からは楽観的な見方が高まっている。モディ首相は国内経済の回復を重要課題と設定し、「”Come, Make in India!”(インドに来て、インドで作って欲しい)」をスローガンとして発表した。これにより、これまでの成長要因であったサービス業から、100万人もの雇用創出が見込まれる製造業への転換に向けた新政権の強い意気込みを明らかにした。

 また、インド政府は外国企業がインドで事業を行うための承認プロセスを簡素化する動きや、労働市場の効率化に向けて労働法を改善する方針を発表している。また、経済成長に必要な労働力の確保を目的として、インド労働雇用省雇用訓練局が新しく設置された。


世界中の投資家からの反応
 このようなインドの経済政策や事業環境の変化に対し、世界は積極的な反応を示している。2014年4月から2015年1月の計10ヵ月間のFDI流入額は、前年度の1年間の総額を既に超えており、2015年1月の単月だけで見ても、前年1月の21億8,900万ドルから44億8,100万ドルへと大幅な増加となった。

 インドに対するFDIの内、約50%がタックスヘイブン(租税回避地)やオフショア金融センターとして知られるモーリシャスやシンガポールからの流入となった。これらのオフショア金融センターからの投資流入は、資金源はどこかということだけでなく、インド市場に対する投資家の自信の表れとも受け取れる。

 一方、日本国内のインド市場への関心も高まっている。国際協力銀行(JBIC)が日本国内の製造業1,000社を対象に2014年7月に実施した調査では、最も有望な投資先として初めてインドが首位を獲得し、それに次ぎ2位にインドネシア、3位に中国が選ばれる結果となった。このようなインドに対する関心は、インドに進出している日系企業数が2010年から2014年で年間13.67%の成長率で増加し、2014年10月の時点で1,209社に到達したことにも反映されていると言えるだろう。インド市場への関心の高まりは日本だけでなく、他国でも同様に高まっている。

 また、外国投資規制の緩和や許可制度の簡易化は、投資家にとって新たな投資機会を提供している。近年、外資規制が緩和された防衛産業や保険業、民間航空業やインフラなどの分野では既に世界中から関心が集まっており、その他の分野の規制緩和も期待されている。デロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)が発表した「2013年世界製造業競争力指数」の調査によると、2018年にはインドの製造業の競争力は中国に次ぎ、世界第2位になると予測されている。さらに、インフラ開発や国内製造業の発展を促進させるため、インド政府は国家製造業政策を発表しており、それ以降、三菱電機やVolvo、Airbus、GE、Haierなどを始めとした製造業の企業は新しい政策のもとインドへの投資計画を進めており、さらに時間の経過とともにその他の企業からもさらなる投資が見込まれるであろう。

 次回のコラムでは、なぜ「Make in India(メイク・イン・インディア)」がインド経済を再度成長軌道に戻すのか、また、世界の投資家・企業たちはこの「Make in India」から何を得られるかについて見ていきたい。

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著者プロフィール

Saurabh

 

Saurabh Srivastava
株式会社チェンジ  
プリンシパル・コンサルタント

 

これまで数多くの民間企業や国際機関に対し、新興国市場における事業戦略の策定やマーケット主導型の製品開発を支援。3年前から東京に在住し、日本企業がインドやその他各国で事業展開する際の戦略策定支援や現地調査の設計・実施などの幅広いサポートを行っている。

 

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