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難航するインド人採用、注意点と対策

コラム 「「就業観」から紐解く、インド市場とは」vol.2

「難航するインド人採用、注意点と対策」
 JAC Recruitment India Pvt. Ltd. 代表取締役社長
 早瀬 恭
 2015年6月4   

 

 さて、前回は日本とインドにおける採用市場の相違についていくつか記述させていただいたが、今回は、インド人の採用時や採用後の注意点等について触れていきたい。その前にもう1点、インド市場における考察を深めておきたい点がある。それが「詐称」である。

「え?書いてませんでしたっけ?」

 日本において企業に提出する職務経歴書に詐称があるケースは、ほとんど稀であるのに対し、当地インドでは頻発する。弊社提携の調査会社の調べによると、インドの採用活動における詐称率はおよそ16%。約6人に1人は、なんらかの形で詐称をしている計算となり、若手になる程散見される。内容について最も多いのは、①在籍期間、②短期在籍企業の削除、③学歴等があげられる。

 弊社の採用プロセスの過程において、「詐称があった際には、内定がなくなる可能性が高いですからね!」という事を求職者に念押しすると、慌ててレジュメを訂正してくるケースは多々ある。それでも詐称を突き通すケースがあり、発覚後、その真意を突き詰めると、「え?書いてませんでした?」「いや、これには理由があり」等と、お得意のExcuseが始まるのである。インドでは如何なる採用時においても、詐称に十分な注意を払う必要があることは確かである。

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当たり前だけれども、重要な点

 さて、ここからは今回の本題であるインド人を採用する際の注意点について、各社から拾い集めた情報に個人的な見解を含めて記述したい。尚、本件についてはあくまでも「個人差がある」という事を前提にしている。

1. 質問は深く
 もはや今更かと思われる基本的な点ではあるが、採用候補のインド人を面談する際には特に意識的に実践して欲しい注意点の1つである。
 なぜなら、インド人を対象とした場合、採用面接の最中に、「出来ません」「自信がありません」という言葉を耳にする事は極めて少なく、どのような質問に対しても、自分を過剰評価して回答する傾向が強いからである。日本における謙虚さというような美徳は、インド人には通用しないと考えた方が良いだろう。
 インド人の「出来る」という言葉の背景や信頼性をきっちり確認するためには、具体的にこれまでどんな人間と協業しながら、どのように仕事を進めてきたかを細かく質問し、発言の妥当性を慎重に評価する必要がある。これは、採用に失敗しないためのポイントとしても非常に重要な点だと言える。

2. 仕事内容は事前にしっかりと説明を
 採用後、短期での離職者から聞く離職の理由としては、仕事内容に対する不満が最も多い。「総務・経理と聞いて入社したのにも関わらず、実際の仕事内容は総務業務が8割であり、これでは経理スキルが活かせないので辞めます。」といった声。また、新たな仕事を業務として命令された際に、「そんな仕事は聞いていない」「求人票にも記載がなかった、私の仕事ではない」といった不満を抱かれるなど、仕事内容について事前に十分な説明をする事で防げたミスマッチというのは、散見される。
 日本であれば、会社への忠誠心が非常に高いため、出来ない事もやってみようという想いが芽生えるが、インドでは欧州に考え方が近く、自分がやりたいことが会社で実現できない場合は辞めてしまうことが多い。そのため、インドでは事前に業務内容・業務範囲・責任範疇等を明確にし、入社前後のギャップを軽減する事が、良い採用の1つのコツとも言える。

 

インド人のメンタリティとは?

 上記のように、インド人と聞くと、「嘘をつく」「言い訳をする」などといったネガティブな印象が蔓延しがちであるが、その一方、ある種日本人に近い、会社のために誠心誠意尽くすようなインド人も多数存在する。そして、採用時からそのような誠実な人材を求める企業は少なくない。しかしながら、やはり組織への忠誠心は時間とともに熟成されていくものであるため、多くの日系企業が転職に罪悪感が一切ないインド人にも忠誠心を持たせるような取り組みを行っている。その一例を以下にてご紹介したい。

 A. 社員旅行
 B. イベント(家族パーティや、クリケット大会など)
 C. バースディパーティー、メッセージなど
 D. 日本へのインセンティブツアーの実施
 E. トップの人柄、コミュニケーション
 F. ポロシャツなど、お揃いのユニフォーム作成
 G. キャンティーン(社員食堂)の充実、昼食メニューの豊富化 など

 また、「定期昇給」もインド人の採用には無視できない重要なインセンティブである。満足そうに働いてくれており、割と優秀な社員ほど、定期昇給を甘く見ると、「Sir, I am leaving…」というメールが突如送られてくる。インド人は同僚・友人間で給与を公開しあうため、同年代や自分より活躍していない社員の給与が、自分より勝っていると気づくと、転職熱が一気に燃え上がるケースが多い。日本企業の人事担当者は、適切な給与相場と昇給率(15年度は約10.6%という見解)を理解し、本人の満足そうな働きぶりに甘えず、相場に負けないようしておくのが適切な対応といえる。

 

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 (お問い合わせ先:jacindia@jac-recruitment.in

 

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著者プロフィール

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早瀬 恭
JAC Recruitment India Pvt. Ltd. 代表取締役社長
www.jac-recruitment.in/index-jp.html

過去10年近く一貫して人材ビジネスに携わり、これまで500社以上の企業の採用課題解決に従事。 
特に製造業での知見が深く、大阪・京都・東京・名古屋と、日本各地の製造業への紹介実績がある。 
アジア各国への出張経験、及び駐在経験を経て、2014年よりアジア最大級の日系人材紹介会社である、 
ジェイエイシーリクルートメント、インド事業責任者。

 

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