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「インド人日本語スピーカー」と「インドを目指す日本人」

コラム 「「就業観」から紐解く、インド市場とは」vol.3

「インド人日本語スピーカー」と「インドを目指す日本人」
 JAC Recruitment India Pvt. Ltd. 代表取締役社長
 早瀬 恭
 2015年7月9   

 

「インド人日本語スピーカー」人材の現状

 弊社に寄せられる人材支援の案件は非常に多岐に渡っており、時としてトレンドを持つ事もある。自動車関連の依頼案件が増える事もあれば、国内消費を狙ったマーケティング人材の要望、またはタイミングを計ったかのように経理職の募集が増える事などもある。そんな中でも、常に高い需要を持ちつづける案件に「インド人日本語スピーカー」があげられる。

 インドにとって日本とは、先端技術を有しており、昨今ブームとなりつつある日本のアニメーションへの注目などから、対日イメージは良好であるが、2010年頃から急速に増えつつある高い需要に対して、日本語の話せるインド人材は慢性的に不足している。インドの日本語学習者総数は世界で14位(国際交流基金2012年、2014年調査)、東南アジアと比較をしても数が多いとは言いがたい。それに対し、英語で不自由なくインド人との強烈な交渉を行えるレベルの日本人駐在員も同様に不足しており、日本語と英語、そしてヒンディー語をたくみに扱うインド人人材を求める声は高まっている。

国別日本語学習者総数

図2
(出所:国際交流基金「日本語教育機関調査・2012年-海外の日本語教育の現状」)

 

高騰する給与水準と、採用のポイント

 現状を踏まえた上で、インド人の採用時に気をつける点としては、「語学力」か「ビジネススキル」のどちらの優先度が高いかという点を明確にする事である。日本語学習者によくありがちなのが、世界的に見ても難しいと言われる日本語の習得に力を使ってきたあまり、その他のスキルが弱いケース。約100個のかな文字の読み書きを覚えた後には漢字があり、さらに漢字には音訓の使い分けがあるなど、習得が容易でない事は非を見るより明らかである。そのため、「日本語」+「営業」や、「日本語」+「経理」といった語学にプラスアルファを求めれば求めるほど、めぐり合える人材の数は希少化し、期待できる日本語能力も少しずつ下がっていくケースが多い。

 また、昨今の日本語人材の給与高騰化も、企業のPLを圧迫し、経営者を悩ませる大きな問題となっている。同じ年齢、経験であっても、日本語が出来るという付加価値で給与は約1.3倍から、高い時だと2倍近くまで高騰する。本人達も当然のように市場価値に気づき、勤務地の限定、休日の限定などといった条件指定の希望を耳にする事も多々ある。ただでさえ難しいとされる「日本語」を、候補者にどこまで求めるのか、各条件を元にしっかりと刷り合わせを行えればベストかと思う。

 

インド現地就職を目指す、志ある日本人

 上記の中、日本語ネイティブ、つまり「日本人現地採用」のニーズも他方で高い需要の高まりを見せる。

 インド現地で日本人を採用する際には、E-visaの取得基準であるUSD25,000以上(約300万円)の給与を支給する必要がある。インドルピーに換算すると、月額13万ルピー程度となり、現地水準と照らし合わせると高額となるが、それでも「ネイティブ同士でのコミュニケーション」「日本的文化を理解した、合理的な仕事の進め方」などを求めると、やはり日本人に仕事を任せることで、駐在員の負担を大きく軽減してくれるであろう。

 インド就職を希望するというと、「なんでインドなの!?」と誰もが驚きを見せる。確かに、駐在員からしても人気が高い国ではなく、生活水準としても便利とは言いがたい環境下である。しかし、インドを目指し就職を希望する候補者は、年々増している。そして、その背景は十人十色、三者三様である。

インド就職を希望するきっかけ/理由

図3

 

トレンド化する海外現地採用、選択肢としてのインド

 日本人の現地採用に対して「日本で就職が出来ない」「何を好き好んでインドに・・・」といった厳しい声が企業からあがる事も多数ある。そういった候補者がゼロであるとは言わないが、今や海外にてキャリアの一歩を踏み出すというのは、ある種のトレンドとなり、時代の流れを汲み取ると、もはや必然性すら感じる面もある。東南アジアを中心とする各国では、現地採用人材が大きな活躍を続けており、駐在員のポジションに取って変わろうとしている傾向も見られる。

 インド人が世界中で活躍しているように、日本人が世界地図を見ながら働く場所を決める日々は、ほんの少しずつだが、近づいてきているように思う。その舞台として、インドは「英語環境」「タフネスの熟成」という2点において非常に良いビジネス環境であり、海外を目指す候補者の中には、上記を求めて渡航を検討する人も日増しに増えている。懐疑的視点だけではなく、肯定的な目線で採用を検討する事で、良い採用に繋がるように思う。

 

 以上、3回に渡りインドでの人材・採用における点について記述させていたが、やはりインドにおいて「採用」というのは頭を悩ませる最大のポイントの1つである事は間違いだろう。そんな中、在印の日本人の皆様のご苦労には頭の下がる思いである。一朝一夕ではないが、今後も健全に悩み、十分に対策を講じ、その発展の一翼を担えるようになれれば幸いだ。

 

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 (お問い合わせ先:jacindia@jac-recruitment.in

 

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著者プロフィール

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早瀬 恭
JAC Recruitment India Pvt. Ltd. 代表取締役社長
www.jac-recruitment.in/index-jp.html

過去10年近く一貫して人材ビジネスに携わり、これまで500社以上の企業の採用課題解決に従事。 
特に製造業での知見が深く、大阪・京都・東京・名古屋と、日本各地の製造業への紹介実績がある。 
アジア各国への出張経験、及び駐在経験を経て、2014年よりアジア最大級の日系人材紹介会社である、 
ジェイエイシーリクルートメント、インド事業責任者。

 

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