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日系企業インド進出と雇用状況

コラム「在印日系企業が抱える人材課題とその解決策」vol.1

 日系企業インド進出と雇用状況
 RGF Select India(リクルートインド法人)Senior Consultant 
 八田 飛鳥 
 2015年8月19日   


 古くから友好関係を維持してきた日本とインドですが、ここ数年の安全保障や経済における日印関係強化により、そのムードは高まり続けています。このような背景もあり、近年インド進出日系企業数が増加し、それに伴う形で平成22年から25年の3年間で在インド日本人数は約175%増と、他国と比較しても驚異的な伸びを見せています。

 インドに進出する日系企業の業種は、自動車、メーカ、商社、医薬品、サービスなど幅広く、2000年4月~2014年2月の日本からインドへの累積FDI流入総額は3,000億米ドル(約36兆円)を超えました(出所:インド国立情報センター)。各企業は、今まで他アジアに設置していた大規模な工場施設、物流拠点、研究開発センター等をインドに新設・移管し始めており、インドは重要な拠点の一つとして位置付けられています。

 それに伴い、年々日系企業のインド人雇用数も増加。外資企業によるインド市場での雇用人数を見ると、日本はアメリカに次いで第2位となりました。これは飛躍的な数字です。代表的な企業が雇用する現地人材の数は、スズキが2万5,000人、ホンダが1万5,000人、トヨタが1万人、日立製作所が9,000人、東芝が8,000人、パナソニックが8,000人と推定されています(正規雇用、非正規雇用、共同事業や下請け企業の雇用を含む)。10年前、インドには300社程の日系企業しか進出していませんでしたが、2015年には企業数が1,500社を超えるとの発表があり、日系進出企業数は著しい成長を続けています。

 

◆日系企業の人材課題

 著しい成長を遂げている日系企業ですが、実は人材面で多くの課題を抱えているのが現状です。

「すぐ転職してしまう」「給与ばかり要望してくる」「インド人の価値観がよくわからない」

 インドで仕事をする中で、このような話を聞くことは少なくありません。多くの日本人は、日本と異なるインド人の価値観・考え方を理解する事に苦労しているように感じます。このコラムでは、そんなインド人の価値観を統計で把握し、人材面からインド人への理解を深めていきたいと思います。

 

◆働き方に対する価値観

 インドで働く日本人がまず驚くことは、インド人の仕事上での価値観。転職時には20%~30%の昇給が一般的なインドでは、特に「高い賃金・充実した福利厚生」が重要だと考える傾向がある一方、日本人は「自分の希望する仕事内容」や「良好な職場人間関係」を大事にする傾向があります。

 インドでは特別な理由がない場合でも常に良い待遇を求めて転職を視野に入れている人が多く、転職理由のトップは役職・給与UPとなります。日系企業は、インドでの採用時に前職と同等の給与や下回る給与を提示することがありますが、特別な理由がない限りインド人はこのような条件で入社を決めることはありません。

 また、進出間もない日系企業に対して、今後の企業戦略や資本状況など、細かい情報を聞いてくる場合も多くあり、入社してから拠点の閉鎖や倒産の可能性がないか「雇用の安定性」を気にするのもインド人の特徴です。日本では有名な企業であってもインドではまだまだ認知度が低いこともよくあるため、モチベーション喚起のため詳細の情報を伝える事が大切です。

 下記、インドと日本を比較したデータです。(赤グラフはインド、青グラフは日本)

■「仕事をする上で大切だと思うもの」(被雇用者、3つまで選択)

image 1(データ出所:リクルートワークス研究所「Global Career Survey」)
http://www.works-i.com/pdf/s_000242.pdf

 

 このように価値観に大きな違いがある日本とインド。今後日系企業は益々、価値観の相違をしっかりと把握し、優秀な人材を確保するため情報提供等の企業努力が欠かせなくなるでしょう。

 

◆外的なインセンティブと企業スペックを求めるインド人

 日本を含む9カ国〈ベトナム、アメリカ、韓国、マレーシア、タイ、インドネシア、中国、インド、日本〉で「仕事をする上で大切だと思うもの」について調査した結果が以下のマッピングデータとなります。以下の位置関係をよく見ると、各国の傾向を読み取る事が出来ます。左下の第Ⅲ象限( 「働き心地」重視)に、ほかと大きく離れて日本があり、右下の第Ⅳ象限( 「企業のスペック」と「外的なインセンティブ」重視)に、インドが位置しています。

image 2※位置関係をマッピング

(データ出所:リクルートワークス研究所「Global Career Survey」)
http://www.works-i.com/pdf/s_000242.pdf

 

◆海外志向が非常に強いインド人

 また、人間関係とグローバル志向に関しても、日本とインドは対極に位置しています。人間関係をできるだけ多く構築し、グローバルに働きたいと考えるインド人に対して、日本人は幅広く多くの人と関わるよりは人間関係を少なく、なるべく国内での仕事を希望する傾向があります。

 アジアの国々の中でもインド人のグローバル志向は抜き出ています。多くのインド人は大学院留学や海外就職を希望し、更なるキャリアアップを目指しています。その為、日系企業は採用時に海外での研修機会や海外出張の機会があることを伝えるとインド人のモチベーションを向上する事に繋がります。

 また、インド人は日本人から見るとウェットな人間関係を好む傾向もあり、日本と比較してもパーソナルスペースが狭いことで知られています。話をするときに距離が近い、並んでいる時の距離が近いなど、インドではよく聞く話です。

 社内の誕生日やスポーツイベント、従業員の家族を招待した記念イベント等が開催される事が多いのもその傾向の現れと言えるでしょう。時には、従業員同士の関係をより深めるような機会を定期的に作ることが、チームの士気を上がることに繋がります。

〈人間関係×グローバル志向〉

image 3
(データ出所:リクルートワークス研究所「Global Career Survey」)

 

◆まとめ

 インドと日本の働く上での価値観を比較しましたが、「仕事をする上で大切だと思うもの」・「人間関係×グローバル志向」等、まさに対極とも言える部分も多く見受けられます。インド社会の特性を良く理解した上で優秀なインド人スタッフを採用し、日系企業の優れた技術やオペレーションをいかに現地化させるかが、インドビジネスの成功のカギになると言えるでしょう。

 円滑で安定した組織運営、またビジネス拡大においても、このような文化の相違を認識し両国の架け橋となれるインド人社員の存在は必要不可欠です。また、そのような希少な人材が長期的に就業できる組織・環境の整備が、現地で奮闘する日本人に最も求められることと考えます。

 

 

※インド全土にて人材紹介サービスを展開しています。インドでの採用をご検討の際には、お気軽にご連絡下さい。

お問い合わせ先:touroku@rgf-executive.co.in(メーラーが起動します)

お問い合わせフォーム(ご記入時間約1分):http://www.rgf-hragent.asia/india/capply

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著者プロフィール

Asuka Hatta

 

八田 飛鳥
RGF Select India(リクルートインド法人)
Senior Consultant 

 

 

アメリカのカリフォルニア州立大学の国際関係学部卒業。
日本帰国後、起業家支援会社で社会起業家支援プログラム等の担当を行うなど、特にアーリー・ベンチャーを中心とした起業支援に携わる。2013年4月よりリクルートホールディングスの海外法人であるRGFインドに入社。日系企業を中心にインド人・日本人双方の採用支援に従事するとともに、インド人新卒学生の日本就業支援プロジェクト担当。

・会社HP:http://www.rgf-hragent.asia/india

 

 

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