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インドで会社を作る時にすること(1)

コラム「インドでの起業への道」vol.2

 インドで会社を作る時にすること(1)
 Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役
 佐々木克仁
 2015年11月24日   

 

 タイトルの話題に入る前に少し雑談を。

■雑談1

 このコラムが掲載される頃には、インドには新しい間接税「Swachh Bharat Cess(ヒンディー語でクリーン・インディア税:2015年11月15日施行)」が開始され、サービスに対する税率が0.5%追加となり、合計で14.5%になっていると思います。

 2015年2月に発表された今年度のインドの予算案で、サービスに対する間接税が12.36%から14%へ(2015年6月1日施行)、そしてクリーン・インディア税が追加されることが予定されていましたが、これで今年度の増税は一段落といったところでしょうか?

 日本では長い年月をかけて消費税を5%から最終的に10%へ引き上げる議論が続いていますが、インドではここ数年毎年のように税制面で大きな変化を続けています。

 インドで会社を作り、納税の義務を果たしながらビジネスをすると決めた私にとって、インドの変化がどんなに複雑で速くても、その変化に合わせていかなければいけません。義務を果たせない外国人はインドにとって不要とされ、居られなくなりますので。

 税率が上がっているのに古い税率で徴収した場合、当然ながら納税額が不足します。お客様にはご迷惑をおかけしますが、そのような時は再請求や、それができない場合には社内調整にて売上から税金へ補填するような処理をしなくてはならず、ビジネスをする上でのリスクになります。

 少額の個人資本で起業した私にとって冒頭のような情報は、自分から色々なところにアンテナを張り、こちらからも情報を提供する中で得られます。起業前にインドでの人脈がある程度できていたため、私自身は納税に関するリスクが現実になることなく今までビジネスを進めることができましたが、周囲の起業家では苦い経験をした方もいらっしゃいます。私もいつ同じ経験をするかわかりません。

 そういったリスクを認識し、最小化に務め、発生してしまった時には早期に収束させる情報共有の場として、デリー近郊の日本人起業家数名が集まって、「在インド日本人起業家連盟(Japanese Entrepreneur Federation in India:JEFI:ジェフィ)」という組織を2012年7月より発足しました。情報共有やアイデアを出し合う場としての定例会は今月で35回を数え、今も私はSkypeを利用し日本から参加しています。

 

●会社を作る人を選ぼう

 さて、「インドで会社を作ろう!」と決意した私ですが、そのためには順番に色々な対応をしていく必要があります。

 自分の体験を基に補足しながら説明しますが、皆さんが読まれた時点の最新の会社設立手順やルールと変わっている部分もあると思います(冒頭に書きました通り、インドはルールが短期間に変わりますので)。詳細については会計士やコンサルタントなど専門家にも確認し、本内容は参考程度にお考えいただけると幸いです。

 最初にすべきことは会社を作るダイレクター(取締役)と会社の資本金を出す株主を用意することです。

 Private Limitedの会社を作る場合、ダイレクターと株主がそれぞれ最低二人は必要になります。合計4人が必要になるわけですが、ダイレクターと株主は兼ねることができますので、最少人数は実質二人と言えます。

※会社法改正により、条件によっては一人でも作ることはできるようになりましたが、実績が少ないこととデメリット(一般の会社より信用度が低く見られるなど)もあるようで、周囲の会計士や経営者から会社設立の選択肢に入っているのを耳にしたことはありません。

 なぜダイレクターと株主が必要なのでしょうか?会社設立を認めるのはインド政府です。政府の視点で見ると、よく分かります。

  (1)問題が起きた時は誰が責任を取りますか?

  (2)会社を運営するために必要なお金はありますか?

(1)がダイレクターであり、(2)を提供するのが株主です。

 人数の決まりに関して大雑把に言うと、一人に何かあった時に影響を最小限に抑えるためにそれぞれ二人以上必要なのです。日本だと連帯保証人という制度がありますが、制度の成り立ちとしては似ているのかなと思います。(制度自体は違いますが)

 なお、ダイレクターと株主は誰でもなれるわけではありません。

 二人の外国人がインドで会社を簡単に作って、色々問題を起こして、責任を取らずに二人とも国外に逃げられては、インドが困ります。

 そのため、どちらか一人はインドに長く滞在していること(半年以上)が条件になります。

 
 なぜ半年以上なのでしょうか?

 外国人がインドで半年以上滞在している場合、納税義務が発生します。これは就労ビザ以外も該当します。つまりビジネスビザでインドに半年以上長期で滞在した場合、インドで給料をもらっていなくても、”全世界所得”という考え方で日本での所得(給料)なども含めてインドに納税しないといけないのです。この辺は日印租税条約なども絡んできますので詳細は書きませんが、とにかく納税義務が発生します。

 半年以上滞在しているということは、外国人登録(FRRO)を済ませ、納税番号(PAN)を取得し、インド政府に納税している=納税義務を果たしているということになります。

 ということで、義務を果たしているという点でインド政府からしてみれば、一定の信用を持った人間と認められるのです。ちなみに”インドに住んでいる”インド人は所得が低ければ納税しない場合もありますので、その限りではありません。

 

 さてさて、外国人の私たちにとっては、このルールは困ってしまいます。「インドで会社を作ろう!」とドキドキしながらインドに渡った矢先に「あなたはインドに長く住んでいないので、ダイレクターになれないから会社は作れないよ」と言われてしまうのです。

 こういう弱ったところにつけ込むのが悪者のビジネス?です。

 「私がダイレクターになるよ♪株主になるよ♪お金を出してくれたら、全部私がやってあげるよ♪」

 今、この文章を読んだ皆さんは、「こんな、いかにも怪しい誘いに騙されるわけがない」と思っているかもしれませんが、実際それで騙されている人が居るので書いています。

 頼れる人がおらず、単身インドに乗り込んで、言葉や習慣、考え方の違いでぐったりしているところに、優しい(怪しい?)日本語で話しかけられたら、一縷(いちる)の望みに賭けてしまいたくなるかもしれません。

 ビザやパスポートのコピーとともに資本金と手数料として大金を預け、その後連絡が取れなくなり夢に向かって歩み出すこともなく帰る悔しさ・・・そんな経験をする人を少しでも減らしたいです。

 

 そこで、騙されないための注意点を以下に書きます。

<会社設立で悪質な業者に騙されないための注意点>

・連絡先が携帯電話番号やフリーのメールドレスのみの業者には要注意。

・事務所と言われる場所に会社名の看板がない(打ち合わせはいつもカフェで事務所に行ったことがない)業者にも要注意。

・資本金の振り込みは会社設立の後になりますので、先払いはありません。そもそも、資本金の振り込みは基本インドの銀行のチェックか、海外送金なので、現金はありえません。

・インドに長期滞在していない外国人の場合、ダイレクターになるために必要な書類の一部は帰国しないと入手できません(最低でも日本の公証人役場での書類が必要)。

・他の日本人の会社設立を手伝ったという業者の場合は、その日本人の連絡先を聞いて、本人に確認する(過去の被害者の話なら誤魔化される)。

 

■雑談2

 日本では安全保障などに影響があるため注目されている南シナ海の中国による埋め立て飛行場建設問題ですが、インドではそれほど取り上げられておらず、かわりにフランスのテロのニュースは大々的に報道されているそうです。

 まあ、インドからしてみれば、南シナ海は重要なシーレーンではないのかもしれません。それよりも古くからの主要な取引先であり、文化の影響を深く受けているヨーロッパや中東の話題の方が優先度は高いのでしょう。

 

  インドでビジネスをするのであれば、インドが何に注目しているのかを知ることも重要だと思います。

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著者プロフィール

佐々木様写真

佐々木克仁(ささきかつひと)
Xroad Solutions Private Limited
Managing Director(代表取締役)

 

 

Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役。インド駐在時代に人材事業、インド企業在籍中に教育事業に携わり、2012年5月にインドで会社を設立。インドの首都デリーで日本人の特に個人向けのサービスを提供している。ドライバー付きの運転手が一般的なインドでも自身で車を運転して移動するなど、日本視点だけでなく、インド視点からも出来事を分析し、より深い日印の相互理解を目指している。2014年10月より日本在住。

Facebook:https://www.facebook.com/sasaki0
ブログ:http://ch.nicovideo.jp/sasaki

 

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