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インドで会社を作る時にすること(2)

コラム「インドでの起業への道」vol.3

 インドで会社を作る時にすること(2)
 Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役
 佐々木克仁
 2015年12月22日   

  

●会社の名前を考えよう

 さて、前回会社の責任者となるダイレクターと資本金を出す株主を選出することについて説明しました。

 次にすることは何でしょうか?

 それは会社の名前を決めることです。名前を考えて決めるだけでは会社は作れません。その会社名を政府に申請し、会社設立で利用できる承認をもらう必要があります。私は”クロスロード”という名前で会社を作ろうと思っていましたので、会社設立を手伝ってくれる会計士に”Crossroad Pvt. Ltd.”にしたいと伝えましたが却下されました。

理由は、

(1)同じ(似たような)名前の会社がすでに存在する。

(2)会社名とビジネス領域が一致していない。

でした。

(1)ですが、インドではCrossroadsという日本のJAFのロードサービスに似たサービスを提供している有名な会社があります。

(2)については、Crossroadとは交差点という意味なので、連想されるのはロードサービスや道路工事となり、私がやろうとしている生活支援のサービスとはかけ離れています。インドでは会社名でどのビジネスをしているかが分かるようにしないといけないルール*があります。

*ブランド価値(知名度)があり、そのインドの支社(関連会社)である場合は、追加の書類の提出で前述のルールに外れた会社名を使用することができます。

(例)SONY India Pvt. Ltd. => SONY=ブランド、India=インド支社

 

 さらに会社名を決める時に気をつけないといけないことがあります。それは特定の単語やその単語配置によって、会社を設立した時の資本金(正確には授権資本金額)の最低額が決められているのです。

 インドで非公開の会社を設立する場合、最低金額は10万インドルピーですが、指定された単語を使うとその金額が増えます(しかも増え幅が複数に分類されています)。詳細はその時の会社法によって変わってくると思いますので専門家に聞いていただくとして、例えをいくつか上げます。

  (例)International、Asia、India、Enterprises、Hindustan、Bharat

 後ろから二つ目の”Hindustan(ヒンドゥスターン)”は、ペルシア語で”インダス川”を意味する”ヒンドゥ”と”土地”を意味する”スターン”を合わせた”インダス川の土地(≒インド)語です。最後のBharat(バーラト)はインドの公用語であるヒンディでの正式なインドの名称です。

 インド政府からすると、「これらの国際的だったり、アジアやインドを代表したり、大きな組織を連想させるような単語を会社名に付けるぐらいだから、もちろん大きな会社(資本金が大きい)でないとね!」という感じで、下は50万インドルピーから上は5,000万インドルピーまでといくつかの金額設定があります。

 単語の配置によっても、金額が変わると書きましたが、”India”を冒頭につけるとそれ以外の位置に付けたよりも10倍金額が増えます。せっかく良い名前を思いついたのに上記の最低授権資本金額により、高額のお金を用意しなくてはいけなくなる可能性もありますのでご注意を。

 ちなみに私は”Crossroad”を”Xroad”に変えて、”Xroad Solutions”と”Xroad Services”、”Xroad Consultancy”の3候補で申請し、最初に書いた名前で承認をもらいました。その結果、お客様からは「エックスロードさん」とよく呼ばれています(笑)

 

●基本定款(MOA:Memorandum of Association)と付属定款(AOA:Article of Association)を作ろう

 なるべく簡単に書こうと思いますが、定款(ていかん)という難しい言葉が出てきました。定款を簡単に書くと、組織についての情報や基本規則です。 

 会社名も確保できて、次にすることは定款の作成です。実際に法人を設立する時は、前述の会社名の申請とともにすることが一般的です。

 何故かというと、先ほども書きました通り、会社名は会社のビジネスが分かる名前でないといけないルールがありますので、会社(組織)の情報を定める定款と辻褄(つじつま)が合わないと後々困るのです。

 実際のMOAとAOAを見てみると、結構なページ数のある書類になりますが、文章の大半はどこの会社もほとんど共通なので、会社設立を請け負う会計会社などからは、会社固有の情報のみヒアリングして、共通フォームからその部分を書き換えて作成しています。

 MOAは会社の会社名(商号)やビジネス内容について書かれています。このビジネス内容を考えるのが一番時間を割くと思います。ちなみにインドでは1つの会社でできるビジネスは限られてきます。逆を言うとひとつの会社でなんでもできないのです。

 例えば、サービスのビジネスをしようと思った場合、納税のためにサービス分野毎に納税コードがあるのですが、私が会社を作った時に会計士から言われたのは、「多くても3~4分野まで」でした。

 分野は例えば、IT、教育、コンサルティングなどです。この3つがあれば、ある会社のコンサルティングをして、自分が開発したITのシステムの導入を提案し、その運用のために社員教育をすることはできます。

 実際はもっと細かい部分まで記述します。レストランをやるのであれば、和食なのか中華もするのか、食材の仕入れもやるのか、弁当(加工品)の販売もするのか、そのデリバリーもするのかなどなどです。一人で考えるのは大変なので、会計士に似た業種のMOAのサンプルを用意してもらい、それをカスタマイズするのが手っ取り早く、漏れが少ないようです。なお、MOAは後々変更することも可能ですが、その際には手数料やMOAを印刷する費用が追加で発生してしまいますので、ビジネススタート直後は考えていなくても、将来的にやりたいと思うことは記載しておくことをおすすめします。 

 AOAについては、取締役会や会計、株主総会などに関する内容なので、取締役、株主、株数、持ち株比率、株価などを入れるだけで大体完成します。

 ただし、ここで確実に抑えておきたいのが、株主総会での議決権です。

 例えば、インドの会社と共同出資で合弁会社を作ったとします。持ち株比率は、日本の会社:インドの会社=75:25とします。この比率のまま議決権を持っていれば、日本側が株主総会で色々な議案を出し、インド側が反対しても議決することができますが、インドでは株比率ではなく、株主=1票になっていたという話しをたまに耳にします。つまり、比率が999:1でも、株主としては互いに議決権は1票を持つ対等の立場になってしまうのです。

 

■雑談2

 ここ最近、日本では中国の大気汚染のニュースをよく目にします。

 偏西風に乗って西側を中心に日本にも飛来していますので、他人事ではないからですが、インドの大気汚染もかなり酷いです。

 特にデリー近郊はこの時期は寒く、雨も降らない乾期のため、車や工場の排煙以外にも暖房用のたき火の煙、ディワリ祭り期間中の花火などで、急激に空気は汚れていき、マスクや空気清浄機を利用する日本人が増えます。

 今年の12月に在インド日本大使館が大気汚染について注意勧告をしています。

<デリーにおける大気汚染の顕著化について>
http://www.in.emb-japan.go.jp/PDF/pollution7dec2015.pdf

 

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大気汚染が酷くなると視界も悪くなり、運転もより危険になる

 

 PM2.5が騒がれるようになってから、空気清浄機を自室に導入したいというデリー近郊に住む日本人駐在員のお客様からの相談がいくつもあり、弊社はそのお手伝いをしております。

 インドで困っていることを見つけ、それを改善することは新しいビジネスチャンスにも繋がっていくのです。

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著者プロフィール

佐々木様写真

佐々木克仁(ささきかつひと)
Xroad Solutions Private Limited
Managing Director(代表取締役)

 

 

Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役。インド駐在時代に人材事業、インド企業在籍中に教育事業に携わり、2012年5月にインドで会社を設立。インドの首都デリーで日本人の特に個人向けのサービスを提供している。ドライバー付きの運転手が一般的なインドでも自身で車を運転して移動するなど、日本視点だけでなく、インド視点からも出来事を分析し、より深い日印の相互理解を目指している。2014年10月より日本在住。

Facebook:https://www.facebook.com/sasaki0
ブログ:http://ch.nicovideo.jp/sasaki

 

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