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インドで会社ができた後にすること

コラム「インドでの起業への道」vol.4

 インドで会社ができた後にすること
 Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役
 佐々木克仁
 2016年1月19日   


 最初に最近、弊社の名前(クロスロード)とロゴに似ているホテルがインドの首都近郊で日本人向けに広告を出しておりますが、弊社とは無関係ですのでご注意ください。資本や経営、接客などのトレーニングにも関わっておりません。

 インドのルールは日本から見ると目まぐるしい速さ(速いものは四半期)で変化しております。ここに記載された内容は当時の状況に即したものです。これからビジネスを始めようとされる方は、必ず専門家に最新のルールを確認することを推奨します。

 

●会社ができた

 会社の資本金を出す株主。会社を作るダイレクター(取締役)。会社名、MOA(基本定款)、AOA(付属定款)を決め、申請するとCOI(シーオーアイ:Certificate of Incorporation=会社登記証明書)が発行されます。

 このCOIの発行をもって、初めて会社が設立されたことになります。でも、これで終わりではありません。この状態では、売上を得るような会社存続のための行動がまだできないに等しいです。

 

●銀行口座を作ろう

 まずは会社が活動するためには何が必要かというとお金です。社員の給料や事務所の家賃、営業活動のための諸々の経費など、お金がないとビジネスを動かすことができません。COIが発行されましたら、資本金を入れるための会社の銀行口座を作ります。

 この銀行口座を作るのに苦労します。銀行員の指示に従って書類を作成し、窓口でチェック後に受領したにも関わらず、後から「これが足りない」「書類のフォームが違っていたからこっちのフォームに書け」など、追加の作業が度々発生します。

 また、ダイレクター全員がインドに居ない場合、書類の作成などで日本とインドを往復させると、それだけで1週間以上かかってしまいます。

 もしも、日本に居るダイレクターのサインが必要な書類がある場合、銀行の担当者からPDFなどの電子ファイルでフォームをもらうようにしましょう。電子メールでフォームを送り、日本側でサインが必要な箇所にサインをしてもらい、一度スキャンデータを銀行に電子メールで送り戻し担当者に確認してもらい、問題がなければサインをした原本を日本からインドに発送するだけで、かなり時間の節約とミスを減らすことができます。

 

●資本金を振り込んだら報告を

 会社の銀行口座ができて資本金を振り込むわけですが、私のように独立するまでインドで働き、インドで収入があるというのは珍しいケースで、多くの方は日本などから海外送金で資本金をインドの口座に振り込むことになると思います。

 たまに日本円の現金を大量に持ってきて、街の両替商などでインドルピーに替えて、現金で資本金を銀行口座に振り込もうとする方がいますが、資本金の振り込みは振り込み元がちゃんと証明できるチェックなど(場合によっては窓口やインターネットバンキング)による口座間の振込のみでしか基本受け付けておりません。

 資本金の振込が終わると、30日以内にRBI(アールビーアイ:Reserve Bank of India=インド準備銀行)に報告しなければいけません。RBIとはインドの日本銀行と思っていただければイメージしやすいと思います。

 

●基本の税番号を取得しよう

 銀行口座ができて、資本金も入れた、インド政府の銀行にもちゃんと報告した。「よし、これでビジネスが始められる!」と思いきや最後に必ずやらなくてはいけないことが残っています。税金を納めるための基本の納税番号を2つ取得しないといけないのです。

 例えば、社員の給料を払った時、委託業者に報酬を払った時など、源泉徴収が必要となります。取得が必要な番号はPAN(パン:Permanent Account Number=納税番号)とTAN(タン:Tax deduction Account Number=源泉番号)です。ちなみにPANはひとつの会社にひとつしか発行されないため、登記番号と同じく会社特定によく使われる大事な番号です。これらの番号を取得して初めて、会計処理も完全に実施することが可能になります。

 

●いずれかは取らないといけないはず・・・

 「よし、今度こそ、やっとビジネスが始められる!」と思ったところ、申し訳ございません。ここからはビジネス内容によって、必要とされるものが分岐します。代表的なものを以下に記載していきます。

<サービス>
 サービス業で売上を上げた時に納税するためのService tax number(サービス税番号)の登録が必要です。

 サービスは沢山のカテゴリーに別れていますが、全部のカテゴリーを登録することはできません。サービスカテゴリーは1つからでも登録できますが、4つぐらいまで登録可能ですので、可能性があるサービスは初めから登録しておくことを推奨します。

<販売>
 仕入れのために支払ったり、販売で売上を上げた時にはVAT(バット:Value Added Tax=付加価値税)やCST(シーエスティー:Central Sales Tax=中央販売税)などを払うため、VAT Numberが必要になります。VATは同じ州内での取引に対する課税、CSTは州をまたいだ取引に対する課税で分けられます。日本と違い、インドは国の中に州という小さな国があるようなイメージで、他の州とビジネスをする場合は越州税がかかるのです。

 サービスと違い、物販は商品によって税率が変わります。例えば、生活に必需品の生鮮食品などは0%から、高級な車は30%なんてものもあります。

 もちろん、扱える商品のカテゴリーもサービス業と同じく指定しますので整理が必要です。

<輸出入>
 日本との貿易をされる方は、通関のためにIEC(アイイーシー:Import Export Code=輸出入業者コード)の取得が必要になります。その他、レストランなどでお酒を出したい方はアルコールライセンスの取得や衛生管理関係の届け出なども必要です。

  自分のビジネス分野で必要な申請登録などが済めばついに本格的にビジネスをスタートできます。 おめでとうございます!――と言えないのがインドですね(笑)

 次回はインドでビジネスを始める時のビザについて書こうと思います。

 

■雑談

 資本金の入金報告でRBIの話がでましたが、RBIはインドで紙幣も作っています。以下は現在作られていない古いインドの紙幣の写真です。上から5ルピー、2ルピー、1ルピーです。

 

1

 

 作られてはいませんが、今でもたまにお釣りなどでもらうことがあります。さて、この3つの中でひとつだけ仲間外れが居ます。それはどれでしょうか?

 

 

 

――答えは、1ルピー紙幣です。

各紙幣の上部中央を見ていただくと、発行元の名前が書いてあります。2ルピーと5ルピー、10ルピー、そして現在も作られている20ルピー以上の紙幣もRBI発行です。ですが、1ルピーだけはGovernment of INIDA=インド政府が発行していたのです。

日本では紙幣と硬貨の発行元が違うのをご存じでしょうか?紙幣は日本銀行、硬化は日本政府が発行しています。インド在住の方は1ルピー紙幣を手に入れたら、日本の知人の土産話にいかがでしょう。

インドと日本、些細な共通点ですが見つけると、少し距離も近づいた気持ちになりますね。

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著者プロフィール

佐々木様写真

佐々木克仁(ささきかつひと)
Xroad Solutions Private Limited
Managing Director(代表取締役)

 

 

Xroad Solutions Private Limitedの代表取締役。インド駐在時代に人材事業、インド企業在籍中に教育事業に携わり、2012年5月にインドで会社を設立。インドの首都デリーで日本人の特に個人向けのサービスを提供している。ドライバー付きの運転手が一般的なインドでも自身で車を運転して移動するなど、日本視点だけでなく、インド視点からも出来事を分析し、より深い日印の相互理解を目指している。2014年10月より日本在住。

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ブログ:http://ch.nicovideo.jp/sasaki

 

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