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インドの新税制GSTとTally

コラム「インド拠点におけるITインフラの構築と活用」vol.5

インドの新税制GSTとTally
 Sanzo Infotech India Private Limited, Managing Director
 山田 則光
 2017年11月6日   


 
前回の記事を投稿してから、1年近く間が空いてしまいました。と申しますのも、新税制GST (Goods and Services Tax)の詳細を分析し、対策を実施するのに振り回されており、いつの間にか月日が経っていた次第です。

 さて、そのGSTですが、当初計画されていた2017年4月から延期したものの、2017年7月1日より運用が開始されました。本件はシステムへの影響も大きいため、今回は新税制GSTとTallyとの関わりについて述べてまいります。

 ところで、同レベルの税制改正は一生に一度あるかどうかのイベントですので、運用開始後の今となっては皆さんの役に立つかどうか分かりません。しかし、今後日本でインボイス方式の税制が導入されるかもしれませんので、参考の意味でお読みになられるとよいでしょう。

 なお、ご存知の通り法制・実務は現在進行形で変化しておりますため、あくまで現時点(2017年9月)での情報とお受け取りください。

 

<GST(Goods and Services Tax)とは>

 インドのGSTをざっくりと表せば、中央政府の課すExcise Duty(物品税)、Service Tax (サービス税)、ならびに地方政府の課すVAT(付加価値税)を統合した間接税の制度です。

※間接税は企業を通して納められる税で、日本では消費税に当たります。給与などにかかる所得税は直接税と呼ばれます。

 以前は、中央・地方それぞれの税種別に対して納税・申告を行わなければならず、また各州のVATにおいて税率を含めた扱いが異なるため、税務に非常に手間がかかり産業発展の足を引っ張っていることが問題視されていました。

新税制は10年以上前から案が上がっていたものの各方面の綱引きが続き、進行が滞っていたところ、支持基盤の強いモディ政権の誕生を背景にこのたび実現したのが経緯です。

 

<現況>

 以下、筆者の所感からGST開始後の現状を振り返ります。

・7月の新税制開始時は意外と混乱が小さかった。

 これには理由があって、消費者接点のリテイル分野において、現場レベルではレジの印刷項目と金額を変えるくらいでしたため、一般の人々から見える範囲では意外と混乱が起きなかったという事情によるものです。
また、各地へモノを届ける物流に関しても、GSTと連動したe-way billと呼ばれる新規制の開始を保留したため、関所での処理はこれまで通り継続され、日常生活への悪影響は回避されたようです。

 

・申告データの税務システムへのアップロードは9月が山場。

GST開始月である7月分の申告データアップロードが9月より始まりました。なにしろ初回の申告かつタイトなスケジュールですので、多くの企業で様々な準備不足や締め切り遅れが発生すると予想されます。じつは本原稿を書いている数週間が申告作業の真っ最中で、各社とも会計担当が会計事務所との間で頻繁にコミュニケーションしているところと思います。この申告データ処理こそTallyをはじめとするERPシステムと関連する重要事項にて、詳細を後述いたします。

 

<申告データアップロード>

 GST登録を行った企業・団体は、申告データを月次で税務システムへアップロードしなければなりません。Tallyでもカバーしている機能ですので、以下に解説いたします。

・販売インボイスのアップロードを行う (GSTR-1)

 顧客へ送付したインボイス(請求書)の課税額をアイテムのHSNコード単位で記録します。HSNコードは貿易によく用いられている輸出入品目の分類で、このコードをもとに税率が決められています。当初はERPソフトから直接税務システムへ接続してデータ交換を行うことも計画されていましたが、現時点ではファイルを経由したアップロード方式がとられています。

  ///データアップロードフロー///
  Tally –[Export]-> Excel –[Convert]-> JSON –[Upload]-> GSTN

 

・一部のケースでは購買時に受け取ったインボイスのアップロードも行う (GSTR-2)

 通常は業者側がGSTR-1において販売データをアップロードするため、その情報が自動的に自社の購買インボイスデータとして反映されますが、一部ケースでは自社で対応する必要があります。代表的なのが輸入に伴う購買です。

外国企業はインドの税務システムにおいて輸出販売データのアップロードができないため、当然輸入側が処理することになります。

 

<対応にあたり困難だった点>

 TallyのGST対応バージョンがリリースされたのは開始ぎりぎりのタイミングでした。これまでたびたび新税制スタートが延期されていたせいか、ソフト開発元のTally社にも直前までリリースしないとの判断があったため、ユーザ向けのTally新バージョン正式版リリースは驚くことに開始1週間前です。弊社ではあらかじめ変更点を先読みして数か月前から机上検証を行い、ベータ版を用いてテストはしていたものの、1週間足らずでお客様先のサーバー・PCへプログラム展開するのは予想を上回るタイトなスケジュールでした。

 なお、GST開始時のTallyバージョンはRelease 6.0で、その後も6.01等の修正版がこまめにバージョンアップされており、しばらくは追従していくのが大変な状況です。

 

 最後に総観ですが、インドほど人口・地理的に大きな国において、今回のようにドラスティックな税制改正を行い、個別インボイス・HSNコード単位でデータ集積するのは非常に野心的な取り組みです。なにより業者側が販売データをアップロードしなければ、仮払仮受のオフセット計算に含めることができないのも、当たり前とはいえ厳格な措置といえるでしょう。正確な税務についていけない会社はビジネス社会からはじき出されることとなりますので、比較的小さな会社でも自社で日常的にシステムを扱う必要性が高まっています。

 

 

※Tallyについてのご相談はこちらへ。
Sanzo Infotech India Pvt. Ltd.
山田 則光(やまだ のりみつ)
E-Mail: sales(アットマーク)sanzoinfotech.in
URL:http://www.sanzoinfotech.in/ 

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著者プロフィール


山田 則光(やまだ のりみつ)
Sanzo Infotech India Private Limited
Managing Director(代表取締役)

日本の情報システム会社にてプログラマーと経営企画を経験した後、経済成長するアジアに興味を持ち、海外の日系企業に転職する。中国・上海市、ベトナム・ホーチミン市にて日系企業向けシステム導入業務に携わる。ベトナム在勤中に、インドでは業務システムについて相談する相手もなく困っているとの話を聞き、現地行きを決意。2010年2月にSanzo Infotech India Private Limitedをインド・ニューデリーに設立、同社代表取締役に就任。インド独自のERPソフトであるTallyの導入、SAPやMSなどのグローバルERP導入を行う。

URL:http://www.sanzoinfotech.in/

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