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Tallyの制限系機能

コラム「インド拠点におけるITインフラの構築と活用」vol.6

Tallyの制限系機能
 Sanzo Infotech India Private Limited, Managing Director
 山田 則光
 2018年1月11日


 
今回の記事ではTallyを運用していく上でのさらに細かい工夫について、様々な機能の中から特定の切り口からフォーカスして述べます。具体的には、このところ各種の制限系、企業統制に関わる機能群についての問合せや要望が増えてきましたため、掘り下げて解説していきます。

 これらの設定については事業に取り組み始めたころはあまり目が向かないこともあり、放っておくと会計担当が自分の好きなようにTallyを使うわけですが、組織が大きくなってきてどこまでコントロールできるのか分からず困るのが実際かと思います。

 

 以下に質問の多い項目を挙げて説明を加えます。Tallyにかぎらず業務システム全般を利用するにあたって重要な観点ですので、その他のERPユーザもぜひお読みになってください。

 

<Tallyの制限系機能>

・Credit Limit (与信枠)

それぞれの顧客に対して与信枠金額を設定します。受注時に与信枠を超えていた場合にワーニングを表示し(受注入力自体は可能)、インボイス発行時においては処理を停止することができます。

Credit Limitの効果的な使用方法のひとつに、前払い出荷対策があります。

前払い前提のビジネスでは、支払いがあってからインボイスを発行し、商品と併せて出荷する流れになりますが※、与信枠をなくして支払い前に出荷できないよう、仕事を型にはめるのに有効です。

※当地の法制、実務慣行により、モノにインボイスを付けて発送することが一般的に行われています。

 

・Security Control (セキュリティ設定)

PCのWindowsログインとは別に、Tallyのユーザとパスワードを用いてソフトを立ち上げます。

各々のユーザは何らかのセキュリティタイプに属し、そのタイプごとに個々の帳票やレポートについて読み込み書き込みの権限を設定できます。

 

 たとえば、営業事務担当のひとに受発注は操作させたいが、銀行残高は見せたくないといった場合に、受注票や発注書の入力権限は与えるけれど、B/SやT/Bの閲覧は不許可とする、といった使い方があります。しかしながら、これにも程度問題があり、画面内のフィールド単位での制限までの細かい指定は不可能です。

 権限を検討する際に、管理者の立場から100以上もある帳票やレポートひとつひとつに対して読み書きを指定していくのは困難ですので、おおまかなレベルで以下のようなマトリックスチャートを作り、そのベースに沿って細かい設定を作りこむよう、社内に指示されることをお勧めします。

[図:ユーザリストの一部]

図1

Back Date Entry (過去日付)の入力についても、Security Controlのなかで設定することができます。

本社に月次レポートを提出した後で、前月の数字が変わったことを指摘された経験をお持ちのかたもいらっしゃるでしょう。この点について、Tallyでは何日前までの帳票を入力・修正できるか、あるいはできないようにするかを指定します。できれば過去日付の修正は避けたいところですが、完全にゼロにはならないのが実情かと思います。

 

・History (更新履歴)

組織が大きくなって、同じ帳票を複数の人が触れるようになると、問題が発生したときに誰がやったのか、あとで調べる事態も起こります。

あるいはそのような記録を残すこと自体が、内部統制上の水準として当たり前に求められるようになりつつあります。

もちろんTallyにも履歴を管理する機能はありますが、表示されるのは下記のように限定的な情報のみです。

帳票:作成者、ならびに最終変更者。途中の改変履歴はなし。

マスター:作成、改変履歴なし。

 

履歴情報が不十分な点は、弊社でも異常値発生時の原因調査で限界を感じる部分です。

データ処理における網羅的な情報を残すようにするには、プログラムのカスタマイズが必要です。(ただし後述参照)

 

<Tallyでできない制御>

ここまで見てきてワークフロー、つまり査閲、承認などの決裁プロセスが欠けていることに気づいた方もいらっしゃると思います。

先に紹介したSecurity Controlは、あくまで機能が使える使えないの話で、金額いくら以上は誰の承認といった権限チャートはありません。結局のところ、物理的な印刷とサインによる決裁を行うことになります。

これには理由もあって、インドにおいては何より「最後は紙」です。

監査の際にAuditorが紙による記録の提出を求めるため、結局は紙による運用を基礎にせざるを得ない事情があります。

 

<制限系のカスタマイズ是非の検討>

 上で述べてきた制限系機能をカスタマイズしてさらに細かい管理をすることは可能ですが、ワークフローなどをあまり突き詰めて設計すると、非常に込み入った作業が必要となり、コストに見合わなくなってくるかもしれません。

Tallyは現地の中小企業向けソフトです。

 したがいまして、Tallyの標準でできる範囲を見極めたうえで、もし本当に不十分と考えられるなら、グローバルERPを検討されることをお勧めします。

 

 

※Tallyについてのご相談はこちらへ。
Sanzo Infotech India Pvt. Ltd.
山田 則光(やまだ のりみつ)
E-Mail: sales(アットマーク)sanzoinfotech.in
URL:http://www.sanzoinfotech.in/ 

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著者プロフィール


山田 則光(やまだ のりみつ)
Sanzo Infotech India Private Limited
Managing Director(代表取締役)

日本の情報システム会社にてプログラマーと経営企画を経験した後、経済成長するアジアに興味を持ち、海外の日系企業に転職する。中国・上海市、ベトナム・ホーチミン市にて日系企業向けシステム導入業務に携わる。ベトナム在勤中に、インドでは業務システムについて相談する相手もなく困っているとの話を聞き、現地行きを決意。2010年2月にSanzo Infotech India Private Limitedをインド・ニューデリーに設立、同社代表取締役に就任。インド独自のERPソフトであるTallyの導入、SAPやMSなどのグローバルERP導入を行う。

URL:http://www.sanzoinfotech.in/

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