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【カメラ】キヤノン、インドの一眼レフカメラ市場で早期参入を狙う

これまで世界各国でカメラ業界を圧倒的に独占してきた米国のカメラメーカー、コダックはどこに消えたのだろうか。インドでは今や、キヤノン、ニコンやソニーなど日系カメラメーカーが明らかに市場の大半を占めており、その中でもキヤノンは積極的な市場戦略で先導を狙う。

キヤノンインド社長兼CEOの小林一忠氏は、インド人の消費行動や購買決定要因について次のように指摘する。「一言で言うと、「価値に見合った価格設定」(price-for-value)が最も重要な要素だ。インド人の消費者は、製品の品質、耐久性や製品が提供する体験価値を認めさえすれば、ある程度高い価格設定でも構わないと考える人が多い。キヤノンの製品はインド市場において中間から高級の価格設定であるが、需要は大いに存在する。」

キヤノンは他の競合カメラメーカーより早い段階からオフィスソリューション事業に注力してきたが、従来からのカメラ事業は未だ最終消費者との最大の接点となっている。

キヤノンインド社にとって、カメラ事業は現在、総売上の46%を占めている。しかし同社はここ数年間の景気低迷の中、消費者の反応に基づき何度も販売戦略を見直してきた。

キヤノンが正式にインド子会社を設立した1997年、同社はまずコンパクトカメラ市場に参入した。定期的な新モデルの投入や製品品質の向上により、キヤノンは着実にインド市場において地盤固めを進めていた。

同社は2002年度にDSLR (デジタル一眼レフ)カメラをインドで発売した。キヤノンインド執行取締役副社長Alok Bharadwaj氏によると、これは革命的な出来事であった。
これまでインドでの市場は、ソニーがコンパクトカメラで攻め、カメラ市場全体としてはニコンが総合的なマーケットリーダーとして立ち位置を維持してきた。しかし2013年5月に発表された調査会社6Wresearch社のレポートでは、「デジタルカメラ部門ではソニーが第一位である一方、デジタル一眼レフ部門ではキヤノンがトップシェアを獲得している」と報告された。

2013年度上半期では、ニコンとキヤノンは両社共に著しい成長を遂げたと報告されている。第二四半期ではニコンがデジタル一眼レフ部門で34%のシェアを占め、市場リーダーに躍り出た。

現在キヤノンは、2015年までにインドでの売上目標を500億ルピーと設定している。同社はインドのデジタル一眼レフ市場で50%のシェア獲得に向けて、2013年9月にインド東部地域への進出を発表した。同社によれば、2013年度のデジタル一眼レフ市場の成長率はインド全体で10%であったのに対し、東部地域では27%に上った。また、Bharadwaj氏はインド南部の人々は写真好きが多く、同社にとって最大の市場であると指摘している。

2013年度第4四半期の6Wresearch社の発表によると、インドにおける最近の動向としてはコンパクトデジタルカメラからデジタル一眼レフへの移行が顕著だと指摘する。コンパクトデジタルカメラの出荷量が前四半期比で17%減少した一方、デジタル一眼レフは対前年比で59%上昇した見通しだ。

キヤノンがインドでデジタル一眼レフの販売を開始して10年以上経つが、アメリカや日本といった巨大市場での売上縮小を受け、キヤノンはインドで攻勢に出る構えだ。キヤノンのBharadwaj氏は、「我々は今後2年間で80%成長を狙う。コンパクトデジタルカメラからデジタル一眼レフへの顧客移行が見られた2013年度は、まさに分岐の年になった。当社のデジタル一眼レフ部門は今年度30%の成長率を達成しており、カメラ事業全体におけるデジタル一眼レフの販売台数の割合も、2009年度の32%から2013年度には60%超えまで拡大している。

Bharadwai氏によると、キヤノンはインドにおいて消費者に写真撮影の機会を提供し続けるとともに、単なる写真撮影を超えた価値を創出することにより事業拡大を目指す。同社は結婚式、家庭の行事、国内および海外旅行などを狙った写真現像事業にも注力していく予定だ。

キヤノンはデジタル一眼レフの顧客ユーザー5万人の内、女性が29%に留まっていることに着目し、このセグメントを同業界における次の成長要因として位置付けた。現在、ムンバイ、デリー、コルカタやバンガロールを含む国内の7拠点で展開しているEOSアカデミーを通して、ブランド構築の活動を継続していく。

2013年度はコンパクトカメラの売上が12%減少したが、同社は中間からハイエンドのレンズ交換式カメラやデジタル一眼レフ事業の強化を迅速に進めている。より高性能であるハイエンド製品は、従来のコンパクトカメラ製品を比べ高価格となるが、同社はデジタル一眼レフへ上方移行する顧客ターゲットに期待している。消費者が「価格に対する提供価値」(value-for-price)を重視するインド市場において、急増する中間層は次なる顧客ターゲットになると見込む。

キヤノンインド社長兼CEOの小林一忠氏は、「日本では一世帯がカメラ2、3台所有することは珍しいことではない。日本における世帯あたりのカメラの普及率は300%である一方、インドでは1%程度である。我々は、2016年までに国内の約440万世帯がカメラを購入できるようになると予測している」と語る。

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