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インド企業の探し方と商談の際の心構え

コラム「難解なインド市場を1歩ずつ進む!」vol.1

インド企業の探し方と商談の際の心構え
 株式会社チェンジ マネージャー
 木澤 真澄 
 2015年8月16日    

 

はじめに

 インドは巨大な成長市場
 インドはきわめて難しい市場

 私がインド進出に関する市場調査やコンサルティング業務に本格的に関わり始めた2010年頃、インド市場に対する多くの人の認識は上記の2つでした。2010年当時から、「インドは人口12億人で経済成長率は7-8%で、2030年には人口が中国を超え、世界一の市場に成長する。」という市場の魅力が伝えられる一方で、「インドにはビジネスを開始するための様々なインフラが整っていない」「インド人消費者は所得水準が低いため価格への要求が強く、日本の製品はなかなか買ってもらえない」という市場の難しさもよく知られていました。

 それから5年ほど経った現在でも、インド市場に対する上記の認識は大きくは変わらないものの、インドへ進出している日本企業数は当時の約2倍に増加し、難しいインド市場で少しずつ成果が出てきている日本企業も増えてきました。

インド進出の日系企業数の推移+業種別内訳

 

 また先日、「無印良品」を展開する良品計画が現地財閥大手のリライアンスグループと提携しインド市場へ進出することが発表されましたし、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングもインド進出を検討しているというニュースも流れ、これまでの自動車産業を中心とする製造業以外の分野でも、日本企業のインド進出が加速していくと思われます。

2015年1月~8月までの主な日本企業の進出状況

 

 当コラムでは、これからインド進出を検討される日本企業の皆様に、私がこれまでインド市場進出に関わってきた経験や、すでに進出済みの日本企業の皆様から聞いたお話を盛り込みながら、難しいと言われるインド市場での事業検討の際に少しでもお役に立てるような内容を発信していければと思います。

 第1回として、今回はビジネスパートナーとしてのインド企業との出会いと商談をする際の心構えについてお話していきたいと思います。

 

海外展開のきっかけ:インド地場企業との出会い

 インドに限らず、海外で事業を始める際には、取引先や販売代理店、調達先、製造委託先、事業提携先としての現地企業とのネットワークの確保は必須といえます。このような現地企業との出会いが海外事業を展開する上での大きな一歩となることは間違いないです。

 また、特にインドという市場は、内需型の産業が多いことに加えて地場企業の影響力が強く、仮に日本企業が単独でインドでの事業を展開し、地場企業との競争に勝っていくには大変な労力がかかります。

 そこで多くの日本企業が経験するビジネスパートナーとしてのインド地場企業との出会いがどのように形成されるかの過程を見ていきたいと思います。日本企業がインド現地企業と出会い、海外事業の展開を開始するきっかけとしては、大まかに下記のパターンが考えられます。

 ・展示会・見本市で情報交換した後、取引に発展する
 ・取引先や関連会社から紹介される
 ・現地企業が何等かの方法で自社を発見し、引き合いを打診する(先方からの照会)
 ・自社が自ら積極的に現地企業の情報を収集する

  上記、4つのインド現地企業との出会いのパターンにおける一般的なメリット・デメリットとして下記のようなものが考えられます。

インド企業との出会いのパターン

出会いのパターン

メリット

デメリット

展示会・見本市

業界関係者が一同に会するため、多くの商談が発生する。

計画的な事前準備がない場合、商談できる企業は運任せの要素が強い。

取引先・関連会社からの紹介

ニーズにマッチした筋のよい企業紹介であることが多い。

取引先との関係上、断りにくい場合や知人からの紹介なのであまり調査せず、盲目的に信頼してしまう場合もある。

現地企業からの照会

先方に明確なニーズがある場合が多く、ニーズがマッチすればスムーズに取引につながる可能性が高い。

先方の熱意に押され、とりあえず始めてみようということになりがちで、十分な調査をせず後々苦労する場合もある。

自社が積極的に情報収集

自社の戦略に合わせた企業選定が可能。

情報収集に労力・コストがかかる。

関連情報 :【2015年】インド見本市・展示会リスト

 上記のどのような出会い方であっても、今後のビジネスに発展する可能性はありますし、実際に事業展開のきっかけとなったという日本企業も多く存在します。

 いずれの出会いのパターンにおいても、先方から提供される情報のみで判断せず、自社の海外・インド展開戦略や販売戦略等の評価軸のもと、収集できる先方の企業情報や評判、該当市場の状況や見通し、先方企業の市場におけるポジション等の情報をかき集め、この企業との提携が自社にとって最適な選択肢であるかということを客観的に分析することが重要です。

 

インド企業と商談する際の心構え

 また、インド企業と商談する際の心構えとして、注意すべきポイントをいくつか紹介します。

●先方の発言を鵜呑みにしない

 インド企業へのインタビューや商談をされた方は同様の経験があると思いますが、先方の事業や商品・サービスについて聞いても、自社の強みの部分のみが強調され、ネガティブな情報や客観的な情報についてはあまり聞き出せないということがあります。

 このような商談の後には、何となく実績のある企業のように感じてはいるものの、何か腑に落ちないような感覚が残るものです。このような場合には、同業界の他社やその対象企業の取引先へのインタビューによって、発言の妥当性を検証しておくことをお勧めします。

 また、上記で紹介した出会いのパターンのうち、先方からの照会の場合でよく起こることですが、インド企業側からの熱心なアプローチに押され、先方の財務状況、経営陣の構成、技術力や販売力等の十分な調査をしないまま提携を進めてしまい、後で自社の思い描いていた事業展開が思うようにならず、痛い目を見たという事例も聞きます。

●具体的な話に落とし込む

 また、インド人ビジネスマンに、御社ではこういったことはできるかと質問した場合に、「できない」と明確に断言すること稀です。日本人ビジネスマンの通常の感覚では「できない」「難しい」と答えるべきことも、インド側では「できる」と言ってしまう傾向が見受けられます。

 これは、騙そうと思って「できる」と言ってしまうというよりは、相手にがっかりされるのを嫌がる気持ちや、やってみればできるかもしれないという気持ちが先行して、このように発言してしまうように感じます。このインド企業やインド人ビジネスマンから発せられる「できる」という言葉は、私の経験上「努力してみます(結果としてできなくても仕方がない)」ぐらいに受け止めた方がよいと思っています。

 本当に「できる」かどうかの実現可能性の評価は、様々な情報や要素からこちらでも判断軸を持っておくことが望ましいです。もちろん、本当にできる場合もありますので、「できる」と言われた場合には、先方との関係性を考慮しながら、具体的な実現方法やこれまでの実績に言及し、双方の意識合わせをするとよいと思います。

●商談前の情報収集が大切

 このようにインド人・インド企業との商談・交渉の場面では日本人とインド側の文化・商習慣の違いを考慮し、目の前に提示された一部の定性情報のみで判断することは判断を誤ってしまうという危険が伴いますので、事前・事後に定量情報や信頼性の高い情報を取得しておくことが非常に大切です。

 インドの企業情報や各業界の情報については、インドの各業界団体が発行しているディレクトリやレポート、もしくは各社のIR情報からある程度は取得できます。また、より詳細な情報が必要な場合には、弊社のような外部の専門家が提供している企業調査サービスを活用するという手段もあります。

 もちろん、事前の情報収集で得られる情報は限定的になります。また、実際に会って議論を重ね、日本企業とインド企業双方の提携や取引の狙いを理解し、関係性を構築することや、現場を確認し企業文化や取り組み姿勢を自分の目で確かめ、実感することの重要性は言い尽くせません。

 しかし、多くのリスクが付きまとうインド市場への展開を検討される際には、少なくとも事前に取得できる情報は手元において、提携候補企業のビジネスの状況、該当市場での立ち位置や彼らの言い分の背景を理解した上で交渉を進めることが、商談をスムーズに進め、無駄なリスクを回避することに繋がります。

 

 

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著者プロフィール

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木澤 真澄
株式会社チェンジ インド進出支援コンサルティング事業担当
マネージャー

 

外資系コンサルティング会社勤務後、株式会社チェンジに入社。2010年よりインド進出支援コンサルティング事業に従事。日本企業がインド市場へ進出する際の戦略策定支援、事業計画策定支援、新規事業開発、市場調査、提携先調査、マーケティング支援、JICA・経産省等の公的機関のインド関連案件のプロジェクトマネジメント等、これまで数多くの日本企業のインド進出をサポートしている。

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