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インド・スマートシティミッションにおける日系企業の商機

コラム「難解なインド市場を1歩ずつ進む!」vol.2

インド・スマートシティミッションにおける日系企業の商機
 株式会社チェンジ マネージャー
 木澤 真澄 
 2016年2月15日    

 

インドのスマートシティミッション

 先日、インド都市開発省(Ministry of Urban Development)よりスマートシティミッションの第1期の選定都市20都市が発表されました。インドのスマートシティミッションとは、インド・モディ首相が掲げている重要政策の1つで、インドにITなどを駆使したスマートシティを国内100か所に建設するという壮大な計画です。

 現在インドでは、総人口の31%(約3.8億人)が都市部に住んでいると言われていますが、インドの経済発展に伴い、さらに都市部に人口が流入し、2050年には総人口の50%である8億4,300万人に到達すると予想されています。この都市人口の増加への対応とともに、エネルギー、水資源、交通、住環境など、環境に配慮したスマートシティ化が急務となっています。

 昨年、インド中央政府はスマートシティミッションに4,800億ルピー(約8,600億円)の予算を投じ、5年間に渡り合計100都市を整備していく計画を発表しました。各都市には初年度20億ルピー(約36億円)、その後3年間各年に10億ルピー(約18億円)が支給され、合計50億ルピー(約90億円)が支給されることになると発表されています。

 スマートシティとして予算を投下される候補地を選定するにあたり、インドの各都市が同じ都市開発フォーマットに従って、各都市の都市開発計画を提出し、その中から候補の97都市がすでに選定され、今回はその第1期(Round1)にあたる20都市が発表されました。

 

smartcity20

 

 都市の選定にあたっては、基本的に各州・連邦直轄地から少なくとも1都市が選ばれることになっていますが、今回第1期として発表された都市やノミネートされている97都市の顔ぶれを見ますと、各州の州都をはじめとするTier 1やTier 2と呼ばれる比較的大きな都市以外にも、いくつかのあまり名前が知られていない都市が候補として挙げられています。これはスマートシティミッションの都市選定の評価基準が、都市計画実施の信頼性、都市の全体的なビジョンと戦略、経済的・環境的インパクト、コスト効率、イノベーションやスケーラビリティ等の項目によって、総合評価されているため、既存の大都市以外にも戦略的に発展させたい都市が選定されている結果だと思われます。

 

各都市のスマートシティ化計画

 スマートシティミッション候補地の選定あたり、各都市が提出した都市計画プロポーザルは公開されています。

インド都市開発省のスマートシティミッション特設ページ

各都市のプロポーザルのフォーマットは統一されており、下記のような項目で構成されています。

 1. City Profile
 2. Area-Based Proposal
 3. Pan-City Proposal
   4. Implementation Plan
   5. Financial Plan

  City Profileでは、都市の概要、抱える都市課題、戦略投資分野、都市のビジョンとゴール等が記載されています。また、Area-Based Proposalとは、都市内の戦略的に都市開発を進めていく一部の地域を選定し、その地域に対してどのように開発していくのかが記載されています。一方、Pan-City Proposalでは、特定地域ではなく、都市全体として開発していくためのプロジェクトが記載されています。

 このプロポーザルを読み込むと、現在の各都市が抱えるエネルギー、上下水、交通、住宅、セキュリティ等の都市の現状や課題および今後の投資計画が整理されており、日系企業にとっても、自社の製品・サービスの提供機会を探る上で非常に有益な情報です。

 

 例えば、マハラシュトラ州のプネのプロポーザルのPan-City Proposalでは、交通・水管理分野を中心とする19のICTソリューションに対して、合計100億ルピー(180億円)以上の投資を行うことが計画されています。

smartcity_pune

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 また、チェンナイでは公共交通機関と統合された高度交通管理システムや洪水や津波に対する災害マネジメントシステムへの投資が計画されていますし、アーメダバードでも同様に共通カード決済システムを備えた統合交通管理プラットフォームや監視カメラによるセキュリティシステムや交通システム、災害システム等の都市の各サービスを統合するOFC(OpenFlow Controller)ネットワーク技術を活用した指令センター(Command and Control Center)への投資が計画されています。

 

インド・スマートシティミッションにおける日系企業の商機

 今回選定された20都市の5年間の合計投資額は5,080億ルピー(約9,150億円)に上ります。これは、1都市当たり平均254億ルピー(約460億円)が投資される計算になります。中央政府から1都市当たり合計50億ルピーが支給されますが、各都市は中央政府からの予算の他に州の予算やPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)等による投資を計画しています。すべてのスマートシティが計画通りに都市開発を進めるというのは難しいかもしれませんが、今回選定された20都市はその中でも実現可能性が高いと評価されたものです。

 すでにインド現地企業や諸国の企業は、このスマートシティミッションに注目し、各都市・自治体へのアプローチを進めていると聞きます。日系企業にとっても、電力効率管理・水資源管理・交通・セキュリティ等のスマートシティ分野は、今後世界に対して日本がプレゼンスを発揮していく必要のある分野であり、インドはその大きな市場の1つとなることは間違いありません。しかし、インド市場攻略となると、広大な土地と州ごとに異なる文化や経済を前にして、なかなか一歩が踏み出せない日本企業が多いと思います。このインド・スマートシティミッションの開始を商機と捉え、各都市の都市課題と予算感の情報をもとに自社ソリューションの展開可能性を早急に検討し、インド攻略の足掛かりとすることをお勧めします。

 

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著者プロフィール

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木澤 真澄
株式会社チェンジ インド進出支援コンサルティング事業担当
マネージャー

 

外資系コンサルティング会社勤務後、株式会社チェンジに入社。2010年よりインド進出支援コンサルティング事業に従事。日本企業がインド市場へ進出する際の戦略策定支援、事業計画策定支援、新規事業開発、市場調査、提携先調査、マーケティング支援、JICA・経産省等の公的機関のインド関連案件のプロジェクトマネジメント等、これまで数多くの日本企業のインド進出をサポートしている。

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