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【インフラ】インド日系企業を取り巻くタミル・ナドゥ州での事業環境

【タミル・ナドゥ州での事業環境】
インド国タミル・ナドゥ州は企業の積極的な投資が続いている一方で、各企業は電力不足やインフラ整備の遅れ等の課題に直面している。
JETRO・チェンナイ事務所長の藤井真也氏によると、日本の自動車関連や製造業にとって重要な輸出拠点であるチェンナイ近郊のエノール港に続く道路の整備や、プロジェクト関連の中央政府・州政府の認可の迅速化、電力供給の改善などに関して、速やかな解決は望めないと見ている。

 

【タミル・ナドゥ州の魅力】
タミル・ナドゥ州は進出に際する魅力が多い。ASEAN諸国にアクセスのよい東海岸の主要港の存在や、広いクライアントを提供する他のグローバル企業の存在など、これらがタミル・ナドゥ州特有の強みとなっている。
また、専門的な人材が豊富であることも強みだ。ルノー日産が2010年に800人の求人を出した際には、55,000人もの応募があったとのことだ。
労働力に関してもデリーやムンバイと比較して20-30%安く雇用できるという。

このような背景の下、企業の進出は増加している。
藤井氏によると2008年時点で77社が同州に進出し、2011年時点で286社が投資していたが2012年10月時点で344社を超えている。
JETROのチェンナイ事務所には、毎月300-400の問い合わせが投資計画と共に集まっているとのことだ。

企業の積極的な投資は現地に新たな雇用も生み出す。
チェンナイ日本商工会の統計によると、タミル・ナドゥ州では120社から総額2,030億ドルの投資があり、最新の技術や技能が持ち込まれ、5万2千人以上の雇用が生まれている。

 

【自動車業界による投資】
進出企業としては自動車業界大手の動きがある。日本自動車産業の大手5社がタミル・ナドゥ州とその近郊での投資を行っており、それによりサプライヤーがTier-IとTier-II地域に集積している。

二輪大手のヤマハがチェンナイ近郊にて、180万台の生産能力をもつ製造工場開設の計画を発表している。ヤマハは2014年1月より同工場での生産を開始し、2018年までにフル生産体制とする予定だ。インド北部での生産体制も同時期までに100万台の生産体制とする予定だが、製造拠点は北部から南部へシフトすると見られている。

またトラックメーカーのいすゞはチェンナイに同社拠点を立ち上げることを計画している。2013年1月までに拠点決定の最終化を予定しており、投資の規模はこれまでの日本の大手自動車メーカーが行ってきたものと同程度のものになる模様だ。

ルノー日産は工場の生産能力を2010年時点の10万台から4倍にまで拡大させる。

 

【進出企業が抱える課題】
このように多くの企業が投資を進めているが、一方でインフラ関連の課題もある。
電力不足に対処するため現地企業は自家発電で対応している。2011年頃では毎日半日ほどディーゼル発電機を稼働させていたが、現在では一日あたり3-4時間稼動している状況だ。ディーゼル発電を使用するとコストが3-4倍多くかかるため、企業の収益を悪化させる。

エノール港への物流インフラ改善についても一年半以上の遅れが生じており、自動車メーカー各社が影響を受けている。

土地代の高さや、用地が不足していることが企業にとっての悩みの種でもある。チェンナイ郊外のOragadam産業地域や近郊のSriperumbudur経済特区の用地は既に完売している。

多くの国では、一度土地を選んだら移設してすぐ事業を開始できるが、インドでは企業は自社で水道、発電・送電を整備する必要がある上、中央政府や州政府の認可も遅れる。例えばアメリカなら2-3日で済む労働ビザの更新が、インドでは何カ月も必要になる。そのため仮に企業が他国で2-3年で採算があうと見込む事業が、インドでは5年必要になる、と藤井氏は語る。

 

 

インドと日本の両政府は協力してチェンナイーバンガロール間の交通インフラ整備と工業地域の設備更新を行う予定であり、その統合開発マスタープランは2013年にも第一次版が提示される予定だ。

インド政府は2011年11月に公表した国家製造業政策(National Manufacturing Policy)において、2022年までの10年間でGDPに占める製造業シェアを現行の15%から最低25%にまで引き上げることを目標にしており、インド製造業の発展を積極的に推進する姿勢を打ち出している。

 

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